貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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た。地上に露出した灌漑パイプなら、パイプとパイプを結合するだけで済み、土木工事による灌漑用水路の工事費より、安く上がると考えた。灌漑用水路は、勾配が無いと、水を供給出来ないが、灌漑パイプは水圧を掛ければ、水を送ることが可能で、勾配は関係ないと推測した。工事が完成すれば水圧を掛けて水を流すのみ、工事後の人件費は、設備のセキュリティだけで殆ど要らないと考えた。灌漑パイプの水の使用量だけで、相当な利益が得られると目論んだ。平はガルシア専務に賛同を得、事業に着手した。正義の慰霊碑が在る町長達も、協力を惜しまなかった。灌漑用水路の土木工事に比べ、パイプを接続するだけの工事なので、工期は極端に短かった。それは、消防車が水圧を掛けてホースを延長し、消火活動するのと、似ていた。この灌漑事業は注目され、パイプ敷設の依頼が多数寄せられ、敷設工事は、海外への出稼ぎ労働者の、国内雇用の場所にもなった。平は[水を制す者は、国を制す]の、ことわざを思い浮かべ、自分も若干、齧ったかなと、ほくそ笑んでいた。
フィリピンでも、GIEMON(義衛門)のポップスターであるリベルは、現地でのコマーシャル撮影などで多忙を極め、就労時間も不規則になった。帰国して三か月過ぎた或る日、リベルが働いているGIEMON(義衛門)ショップ・マニラ一号店に、突然、丸ぽちゃのアキが現れた。その日は、リベルは偶々、コマーシャルの仕事が無かった。海外への渡航経験の無いアキは、独学で覚えた英語とタガログ語のみで、リベルが働いているマニラ一号店に、辿り着いた。リベルが「安造の了解を得て、来たの?」と、訊ねると、アキは、首を横に振り「独断で来た」と、答えた。急遽、リベルは平に電話して、アキがGIEMON(義衛門)ショップに来て居る事を、伝えた。平は安造に、緊急電話をした。その日、リベルは店を早退して、アキをコンドミニアムに連れて行った。夕方、平とハーモニーがコンドミニアムに帰宅し、平がオフィスから、日本の安造に電話した事を、アキとリベルに伝えた。安造は、無断で出て行った事に、相当、御機嫌斜めの様で、アキが、バツの悪い笑いをしていた。その夜、四人は談笑しながら、ハーモニーの作った天ぷら料理で、夕食を摂った。アキが、ハーモニーの日本料理の上達ぶりを、誉めていた。メイドの部屋が、空いていた。夜も更け、リベルとアキは、別々の部屋で睡眠を取った。翌朝、アキが、時間が経っても起きて来ないので、ハーモニーは、メイドの部屋を覗いた。部屋は空だった。不審に思い、リベルの部屋を開けたら、アキはリベルと一緒に眠っていた。暫くしてアキが「お早う御座います」と、言って起きて来た。アキはハーモニーに「昨夜、リベルに付けて貰ったの。ハーモニーと同じよ」と、得意げに、腕と胸元二か所のキスマークを見せた。平とハーモニーは、たまげて顔を見合わせた。リベルが、
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