貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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と思い、現地スタッフの空港への出迎えは避けた。その日は、コンドミニアムに直行し翌日、オフィスに出勤した。前触れの無い出社で、スタッフは慌て房めいていた。平は、直ちに、オフィスに電話で、ガルシア専務とロベルト・ペレス(Roberto Perez)だけを呼び出した。二人は昼頃、オフィスに現れた。まず、ロベルトにミスター蛍(Mr. Firefly)の労を労らって、これからも一緒に、ミスター蛍(Mr. Firefly)を継続して欲しいと依頼した。ロベルトは快く承諾してくれた。平は、GIEMON(義衛門)幹部スタッフと、ガルシア専務とロベルトに、これからの会社の方針を話した。日本は、世界中で一番高い法人税の国である。多国籍企業は、本社の所在地のみを、カリブ海のケイマン諸島に移したり、世界の船主は、所有している船舶を、アフリカのリベリア船籍にして、税金を免れている。為替相場は円高である。日本の金利は、ゼロ金利が続いている。日本は、デフレで景気は低迷し、産業の空洞化が加速している。この国は、出稼ぎ大国で、人件費の安い労働力は豊富にある。安い人件費は、商品の製造原価を、押し下げる要因になり、デフレにも対処出来る。日本の武井興業鰍フ利益を、パテント料もしくはロイヤルティーの名目で、法人税の安いフィリピンの子会社、フィリピン武井鰍ノ移動する。法人税とは別に、優遇措置が或るマニラ郊外の新工業団地に、GIEMON(義衛門)ブランドの工場を新設する。などが、方針の根拠になっていた。
半月後、東京の武井興業竃{社より、多数の幹部社員が執行して来た。中には、土蔵のバングラディシュ人の幹部社員もいた。本社からの利益の移動は、工場創設に寄与した。元々、日本の金融機関と、太い繋がりの或る武井興業鰍ヘ、更に日系金融機関との関係を密にした。金利の安い日系金融機関は、フィリピンでの資金調達に貢献した。平は、バングラディシュ人の幹部社員を、マニラの工場長に任命した。余剰労働力を抱えているこの国は、工場の求人には苦慮しなかったが、平は、なるべくスモーキー・マウンテンなどの貧困層を、雇用する様に指示いた。しかし、一ヶ月程過ぎると、工場従業員の、遅刻・無段欠勤や、転職など、従業員のモラルの低さが多発した。工場長は従業員に、GIEMON(義衛門)の基本理念を話し、就業規則を守らせる事から始まった。ガルシア専務とロベルトは、縫製工場を見るのは初めてで、興味深げに見学していたが、平には、二人をGIEMON(義衛門)ブランドに関与させる考えは無かった。この国は、雨季と乾季が在り、時おり干ばつに襲われていた。平は、乾季になっても、水が絶えない水源から灌漑パイプを引き、田畑に供給するインフラ事業を考えていた大陸を横断して原油のパイプラインを引けるなら、水源から長距離で結ぶ、水の灌漑パイプラインも可能だと、思い描いてい
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