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貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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。猫のタマが、桃子の部屋で死んで居たそうだ。タマは、桃子の部屋に閉じこもった侭、桃子の帰りを待ち続け、澄子が、餌を与えても、殆ど口に、しなかったそうだ。蛍の家の子供数人と澄子で、合祀の墓に納骨しておく、との電話だった。電話を終えた澄子は、蛍の家の子供達と一緒に、野菜畑に出た。二匹の蛍が、皆の前を横切り、夜空の星に消えて行った。子供の一人が「あの蛍は、小ママ(ちいまま)とタマだ」と、言った。澄子が「小ママ(ちいまま)とタマは、空に上がって、お星さまに成ったの。お星さまが、二つ増えているよ」と、言った。子供達が、夜空に見入っていた。23
年末から、平の元に、ハーモニーとリベルをGIEMON(義衛門)のコマーシャルに出演させると良い、と云う意見が、幹部社員より数多く寄せられていた。来日からの二人の人気に着目し、ハーモニーの美貌とリベルのイケメンに、あやかりたいと、云う内容だった。平は、リベルは別として、その意見には乗り気では無かった。平に取って、ハーモニーは自分の宝物であり、人前に晒す(さらす)事など、言語道断であった。結局、平はリベルだけ出演させる事にした。リベルから話を聞いたアキ、は、気が気では無かった。平は、フィリピンのガルシア専務とロベルト・ペレス(Roberto Perez)に、リベルのコマーシャル出演が決まり、帰国が大幅に遅れる事を電話で伝えた。リベルのコマーシャル出演は、テレビのビデオ撮りや広告写真の撮影で、一ヶ月をオーバーした。土蔵に、来季の新入社員が、数名訪れていた。どん底から這い上がって来た平は、有名大学の受験勉強専門型の学生は好まず、二流・三流の大学で大器晩成型の学生や、奨学金で夜学に通っている学生を好んだ。平は新入社員に「有名大学の学生に、負けるな!」と、檄を飛ばした。
日本滞在中に、平の誕生日である、節分を迎えた。安造が、枡の大豆を「鬼は外、福は内」と、言って、庭と室内に播いた。ハーモニーとリベルにも播かせた。ハーモニーが面白がって「鬼は外」と、言って、平に向かって大豆を投げた。アキがハーモニーに「家内安全と云う日本の習慣で、傍に居て欲しい人には、投げては駄目」と、説明した。ハーモニーが「I'm so sorry、I'm so sorry」と、平に謝っていた。そして「ハッピーバースデイ」と言って、彼女は、誕生日プレゼントの手作りのパスポートカバーを、渡した。
コマーシャルに出演したら、イケメンのリベルの人気は凄かった。幹部社員の思惑は的中した。マスコミからの取材攻勢や、会社にファンが詰め寄せるなどで、リベルは大変だった。人気の勢いは、止まる事を知らずファンの波は、安造の屋敷まで及んだ。武井興業鰍ヘ急遽、サイン会を開いてファンに対処した。当然、リベルの処へ、芸能関係からタレントへの転向の話は舞い込んだが、リベルは一切、聞く耳を持たなか
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