貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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いた。桃子は、ダウン症特有の優しさを持ち合わせ、終始、笑顔を絶やさなかった。タマは子猫の時、蛍の家の野菜畑で、桃子が拾い、寝起きを共にして可愛がっていた。二日目、卒業生と子供達が、年賀状を見て、帰省出来ない蛍の家の卒業生に、会いたがっていた。安造は平に「最近の、蛍の家に入居する子供の中に、浮浪児は全くいない。入居する子供達は、育児放棄された子供や、家庭内暴力で虐待された子供が大半だった。世の中も、変わったものだ」と、洩らした。
正月休暇も終わり、卒業生も、各々の職場に帰って行き、蛍の家は、何時もの生活に戻った。平は、リベルと共に本社に出社した。久しぶりの、日本での正月出社だった。幹部社員が平に、年頭の挨拶を要請した。平は社員の前で、自論を述べた。「人間の最大の病気は、孤独です。孤独とは、自分が社会から、要らない人間になったと、感じる時です。愛の反対は無関心。無関心は、孤独の始まりです。無関心が続けば、誰も貴方を、当てにしなく成ります。関心を持って行動を起せば、貴方は当てにされ、貴方にやる気が生れ、充実感に繋がります。自己満足とは、自分のみが充実感を得られる事です。自分の行動で、他の者が喜べば、自己満足に値しない。寄付・慈善事業・ボランティア・スポーツ選手・芸能人なども、人に喜びを与えています。GIEMON(義衛門)も同じです。消費者が喜ぶ商品を提供して下さい。人間の感覚には五感が有ります。視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚です。広告で直接、商品を伝える事が出来るのは、視覚・聴覚だけで、触覚・味覚・嗅覚はイメージ、憶測・推測で伝えているだけです。GIEMON(義衛門)の商品は視覚で直接、消費者に伝える事が出来ます。視覚による、有効的な広告を、遂行して下さい。触覚の感覚は、消費者が身に着けた後に、判断します。消費者に商品が渡った時、品質が悪かったら終わりです。品質管理は徹底して下さい。」と、締めくくった。社員から拍手喝采であった。
七草も明け、安造は、安造家族と平・ハーモニー・リベルと共に、安造の屋敷に帰ろうと思っていた。全員が食堂に居ると、何時も、朝一番で起きて朝食の支度に入る桃子が、朝食時になっても、現れなかった。不審に思った澄子が、桃子の部屋に入った。タマが、桃子と一緒に寝て居た。澄子は「桃子、起きなさい」と、言ったが、桃子の返事は無かった。タマも、桃子の顔を舐めて、起していた。桃子の息は、既に途絶えていた。「桃子、起きなさい!」「桃子、起きなさい!」澄子は、必死になって、桃子の体を揺すった。澄子の大声を聴き付けた皆が、部屋に入って来た。安造が「桃子、起きろ!」「桃子、起きろ!」と、怒鳴った。蛍の家の子供達が「小ママ(ちいまま)!」「小ママ(ちいまま)!」と、泣き崩れていた。子供達の目は、涙で真っ赤だった。大人達の目にも、涙が溢れていた。思えば、二三日前から
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