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貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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の人数分お年玉が、用意出来た。安造は、毎年のお年玉の金額を均等にする為、お年玉袋の表に卒業生の名前を書かせていた。ハーモニーはHarmonyとリベルはLevelと、御年玉袋に英字で書いた。22
除夜の鐘が鳴っていた。安造は、義衛門と静が書いた手記を読んでから、毎年の暮れの鐘の音がすると、義衛門に倣って(ならって)鐘の意味を、蛍の家の子供達に、語る様になった。「人は、108の悪い事が有るのだ・・・今年の悪い行い事、飛んで行け!と、言って108回、鐘を打っているのだよ」と、言った。子供達が、互いの不心得な行為を詰って(なじって)、言い合いが始め、蛍の家が騒然となった。「A君は、僕の頭を打ったよ!」、「Bちゃんは、私の消しゴムを返してくれない!」、「C子は、僕のチョコレートを食べちゃった!」と、鼻を啜りながら(すすりながら)言った。澄子が大声で「うるさい。悪いことした人は謝りなさい」と、言って宥めたら、子供達が、各々の相手に「ごめんなさい」と、頭を下げていた。騒ぎが収まり子供達の「新年、おめでとう御座います」の言葉が、蛍の家で飛び交じった。卒業生が、蛍の家の子供達に、御年玉を渡し始めた。横一列に並んだ卒業生の前を、蛍の家の子供達が、御年玉を貰いながら歩いた。最後尾に、アキ・辰之助・夕子・平・真理子・桃子・澄子・安造が並んだので、ハーモニーとリベルも最後尾に並んだ。一人の女子がリベルに「これ(Harmony・ Level)、何て書いてあるの?」と、聞かれたので「ハーモニーとリベル」と、答えた。お年玉の中味は少ないが、卒業生と大人の人数を合すと、可なりの人数に達するので、子供各自の御年玉は程々の金額になった。子供達は、有頂天で飛び回っていた。蛍の家・全員で、毎年恒例の、元旦の日の出を見る為に、近くの海岸に歩いて行った。元旦の夜明けは快晴で、太平洋の御来光は、幻想的だった。子供達が寒さで、ハーモニーとリベルに抱き付いた。日の出を見終え、全員、蛍の家に戻ってきた。大人の女性が、台所で火を入れ、雑煮を作った。雑煮には、小判型の餅の他に、蛍の家の野菜畑で取れた野菜が、盛り沢山入っていた。卒業生と子供達は、食らえ付く様に、雑煮を食べた。食べ終ると、子供達は、昨夜からの徹夜の影響で、所、構わず眠ってしまい、大人達は毛布を掛けて回った。午後になり、安造と澄子と桃子が台所のテーブルで年賀状を見ていた。年賀状は殆どが、帰省出来ない蛍の家の卒業生の年賀状で、中には子供との集合写真も有り、安造・澄子・桃子を、爺ちゃん・大婆ちゃん・小婆ちゃんと称して、載せてあった。安造は「俺も孫が出来て、爺ちゃんか!」と、言って、嬉しそうに、子供の写っている年賀状を見ていた。ダウン症で口が不自由な桃子は、桁違いの喜び方で、写真を間近で見たり、離して見たりを繰り返した。桃子の足元に(タマ)が、纏わり付いて
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