貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
[19/38]
[1]次 [9]前 最後 最初
、洗濯機の横の棚に、免許証が置き忘れてあった。ハーモニーが開いて見ると、安造の顔写真が載っていた。顔写真の反対面には、若い女性の、古惚けた白黒写真が入っていた。安造は、時々、朝風呂に入る習慣があった。ハーモニーが安造を探すと、子供達と一緒に野菜畑に行った後だった。台所で野菜の細断をしていた、平に免許証を渡した。平がハーモニーと一緒に免許証を開き、古惚けた白黒写真を見た。それは、母・静の中学性時代の写真だった。安造が、永きにわたり、母・静に愛情を持ち続けていたのを、平は始めて知った。生涯、独身を通して来た、安造の切ない悲しい恋に、平とハーモニーは、心を打たれていた。二人の目に光るものが有った。平は、安造のベッドの棚に免許証を戻した。日も暮れると、子供達が仕事場から戻って来て、汚れた衣服を脱ぎ、次々と、蛍の家の大き目の風呂に、飛び込んだ。入浴を済ませた子供達は、食堂で食事を終え、疲れて早々と眠ってしまった。安造は、親の無い子供達に、自分で稼ぐ重要性を、教えたかったのである。蛍の家の細断野菜は完全に軌道に乗り、売上も順調だった。蛍の家の運営費も、売上で充分、賄が付いた。余った利益は、細断野菜工場の拡充や子供達の将来の蓄積に回り、安造も平も、自分達の報酬は、一切求めなかった。安造も平も、慈善活動の蛍の家の運営は、自分達自身が運営するのが筋で、公共団体からの補助金は、一円足りとも受け取らなかった。正月休暇で、蛍の家の卒業生が、次々と帰省して来た。親の無い彼らに取って、蛍の家は実家であり、武井兄妹はパパ・大ママ・小ママであり、子供達は弟・妹であった。卒業生の中には、既に、市会議員や企業家になった者もいた。子供達は、久しぶりの兄ちゃん・姉ちゃんとの再会で、はしゃぎ回っていた。正月休暇は、蛍の家の人数は、数倍に膨れ、ゴロ寝の状態になったが、それは、大家族しか、味わえない良さであった。中に、武井興業鰍ノ勤めた者が、相当数いた。年末恒例の卒業生に依る餅つきが始まった。蛍の家の餅つきは、役割分担が決まっていて、卒業生が餅をつき、子供達が餅取り粉(上新粉)を塗し、小判型の餅に仕上げていた。杵を持つのは子供には重く、のし餅は、子供には容易に切れないので、子供達の役割は、小判型にする、と、云う、安造の配慮だった。ハーモニーとリベルは、餅つきを、興味深げに見入っていた。卒業生が、お年玉袋に小銭を詰め始めた。ハーモニーとリベルは、訳が分かないので卒業生に聞いた。卒業生は「毎年、自分達が、正月に蛍の家の子供達一人一人に、配る為に用意する。自分達も、蛍の家に居た頃は、先輩の卒業生から貰った」と、言った。ハーモニーとリベルは、仲間に加わりたいと思ったが、小銭の用意が無かった。平に話したら「丁度、年末で細断野菜の売上金が小銭で、沢山、有るので、両替して貰ったら?」と、言われ、売上金と両替して、子供
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ