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貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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と合流してから、安造の怖い顔が一変して、マリヤ様の顔に変わっているのを、感じ取っていた。ハーモニーとリベルは、慈愛に満ちた安造の人物像に心打たれていた。そして、二人兄妹のハーモニーとリベルは、蛍の家の大家族が、羨ましかった。子供達が、唄い始めた。夜が更けると、雪が積もり始めた。サンタクロースが今夜来ると、言って、年少の子供は、中々寝付かなかった。ホワイト・クリスマスの神秘的なイブ夜だった。南国育ちのハーモニーとリベルは、ホワイト・クリスマスの経験が無く、感動に胸打たれ、十字を切っていた。その日の深夜、辰之助が運転して来た、ワンボックスカーから、大人達でクリスマス・プレゼントを蛍の家に運び込み、熟睡している子供達の枕元に配り置いた。
クリスマスの朝は、イブから降り続いた雪で、一面、銀世界だった。食堂で、年少の子供達が「サンタが来た、サンタが来た」と、言って、クリスマス・プレゼントを持って飛び回り、「大ママ(おおまま)、見て。小ママ(ちいまま)、見て」と、言って、得意げに、澄子と桃子にクリスマス・プレゼントを見せていた。年長の子供達が食堂に入ってきて、安造に「パパ、有難う」と、嬉しそうに言っていた。最後に、澄子と桃子は「安ちゃん、毎年、ありがと、さん」と、言い、真理子は「社長さん、有難う御座います」と、言った。子供達の喜ぶ姿を見て、安造と平は、遣り甲斐(やりがい)を感じ、自分達も幸せだと思った。大人達は各々、昔を思い起していた。平は、静が童話のマッチ売りの少女が好きだった事や、貧しい土蔵の生活で、静が工面してクリスマス・プレゼントを用意した事。武井兄妹は昔、義衛門から、父・六郎を還してクリスマス・プレゼントを貰っていた事。ハーモニーとリベルは、スモーキー・マウンテンで蛍の紙袋にクリスマス・プレゼントが入っていた事。夕子とアキは、蛍の家時代、クリスマス・プレゼントを、安造から貰った事。子供達が、各自の部屋に戻って行った。ハーモニーが、手作りの名入財布を、平と安造に渡した。夕子が辰之助に、アキがリベルに渡した。男達は、名入財布を手にしに喜んでいた。リベルはアキに、赤いチェックのマフラーを、プレゼントしたが、平と辰之助は、ハーモニーと夕子にプレゼントの用意が無かった。アキだけが大喜び、ハーモニーと夕子は御機嫌斜めだった。平と辰之助は、ハーモニーと夕子に両手を合わせ、詫びていた。
年の瀬を迎え、蛍の家の野菜畑も細断野菜工もフル操業、冬休み中の子供も、休みを返上して手伝い、猫の手も借りたい程の忙しさだった。臨時の、アルバイトも動員した。スーパーマーケットからの注文の電話も、鳴りっぱなしだった。リベルは、あまりの忙しさに圧倒され、子供達の仕事の手際よさに、逆に、子供達から尻を叩かれる始末だった。午前中、ハーモニーが、子供達の汚れた多量の衣類の洗濯をする為、風呂場に入ると
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