貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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る。彼女は、工場長に再雇用を懇願したが、工場長は、専務の理念の家族主義に反すると、して却下した。要するに、専務の考えは、家族を見捨てる様な社員は、要らないと、云う事だ。他にも十数名、同じようなケースが有ったが、皆、再雇用は叶わなかった。中には、今だ、職に在り付けず、ホームレスしている者もいる」と、バングラディシュ人は話した。リベルは、会社経営に対して、改めて、平の厳しさに感服した。
風邪も治まったある日、ハーモニーは平に「平の会社に行っても詰まんない。平のオフィスは無いし、社員から丸見えだから、平と愛のキスも出来ないよ」と、言った。平の会社の仕事は分業化し、社員の仕事は固定化していた。日本語が出来ないハーモニーは、仕事が無く、一日中、椅子に座っているだけで退屈だった。平は思慮して、ハーモニーを安造の屋敷に、居る様にした。彼女は、平と離れるのを拘った(こだわった)が、マニラのコンドミニアムでの一人の時とは違って、安造と夕子とアキの三人も居るので、納得した。安造も、美人の嫁さんハーモニーが一緒で、嬉しそうだった。アキとハーモニーの、英語とタガログ語と日本語の勉強が、アキの部屋で始まった。ハーモニーが、勉強の合間に、手作りの財布を作り始めた。アキがハーモニーに聞くと「平のクリスマス・プレゼント」と、答えた。アキが「私も作るから、教えて」と、言った。ハーモニーの手解きで、アキも、財布を作り始めた。夕子が菓子を持ち、アキの部屋に入って来て、二人の財布作りを見た。「私も、作りたいわ」と、言って、仲間に加わった。刺繍で縫った、ハーモニーの名入財布と、アキの名入財布と、夕子の名入財布が、三つ出来上がった。三人は、財布が一つ足りない事に、気付いた。安造の分だ。三人は、共同でもう一つ財布を作り、ハーモニーとアキと夕子の、三人の名前を、その財布に刺繍で縫った。ハーモニーが財布に、僅かなフィリピン・ペソの硬貨を、財布の内側に縫い付けた。アキと夕子が、訝しげ(いぶかしげ)に理由を聞くと、ハーモニーは「フィリピンでは、財布が空だと、その人は、お金に困ると云う、云い伝えが有るの」と、言った。アキと夕子は、納得した様に頷き、「日本では五円玉が良いね。お金に御縁(五円)が有る様に」と、言って、各々の名入財布の内側に、五円玉を縫い付けた。安造用の財布には「お嫁さんのハーモニーが、縫い付けた方が、良い」と、二人に言われ、五円玉をハーモニーが縫い付けた。こうして、男衆のクリスマス・プレゼントが出来上がった。21
クリスマスの前々日、平とハーモニーと安造家族は、蛍の家の子供達全員と、テーマパークで合流した。澄子と桃子も、蛍の家の子供達を、引率して来た。平とハーモニーと安造家族は、辰之助の運転で、蛍の家の子供達は、チャーターしたマイクロバスでの、到着だった。クリスマス前のテーマパークは、クリスマス
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