33話 所業の残骸 3.2
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ジアでのティターンズの引き上げによる政治的、軍事的圧力による徴発の実態と証拠を調べてもらうように注文していた。そしてセイラはその詰めをダカールでの中立派とティターンズ派閥の中でも倫理的に道徳的に付いて行けない議員の寝返り工作を努める為、先発していった。
ブレックスはセイラの資料だけでもある程度勝負になると思っていたが、ヘンケンのもたらされた情報はティターンズへの追撃だった。最強の切り札として変化すれば、コリニーらを処分できる。
「一つ怖いのは、コリニーが暴走したら、だな」
そうブレックスがぼやくとヘンケンも画面の向こうで頷いた。
「そうですな。政治が止まると、地球での食料事情が深刻になる。仮にも奴らは与党だ。議場での食料問題をまず決着し、その為の停戦を世界に呼びかける必要性があります」
「ああ、その為の資料は用意できた。抵抗運動しても結局は非力な、無抵抗な市民を巻き添えに、犠牲にしてしまうことは否めない。これが現実だ。我々の大義名分の限界だな」
ブレックスは嘲笑していた。ヘンケンが眉を潜め、ブレックスに喝を入れた。
「代表!貴方はそんなことを言ってはなりません。我々は正義を信じて、命を張ってます。現在治療中のシロー・アマダもカラバの協力者です。彼もそれを信じて今日まで・・・」
ヘンケンは自分の事の様に込み上げてくるものが出てきて、言葉を詰まらせた。
これまでも戦場で様々な生死を見てきている。全ては人のエゴによるものだった。人はなんて愚か何だろうと哲学的に自身に問うことはここにいるクルー全てが感じていることだった。
ブレックスは笑うのを止め、真顔になった。
「そうだな。もはや世界は厭戦気分だ。人々の願いはまず戦いを終わらせることにある」
「はい。では報告書まとめましたら、そちらに送付致します」
「頼んだぞ」
ヘンケンとの通信が切れ、ブレックスは立ち上がってセイラの書類を眺めた。
「・・・通商相と運輸相、国防も絡んで行われたか。我々の練度と兵器性能の差をここまで即断するとは」
やはりコリニーは侮れない。自分の実力を過信しない、そして被害も軽微に最大の効果を生むことを考えては保険も掛ける。果たしてこんな謀略家に太刀打ちできるのかとブレックスは身震いをした。
* ダカール市 連邦議会前 カフェテリア 3.9
セイラは新聞を読みながらコーヒーを嗜んでいた。目が既に座っており、臨戦態勢だった。そこにスーツスカート姿の同じく臨戦態勢なイセリナが近づいてきた。
「おはようセイラさん」
セイラは腕時計に一目やり、イセリナの顔を戻した。
「・・・時間通りね。中立派閥は?」
「あんまり芳しくはないね・・・。皆我関せずの様子だけど。そちらは」
「そう
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