33話 所業の残骸 3.2
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艦橋に戻ったバニングはヘンケンに報告を入れていた。
「艦長、成果は・・・」
バニングの表情が芳しくない、ヘンケンはそう思い、
「あまり良い収穫はなかったか・・・」
「はい、もぬけの殻と言っていいでしょう。残念です。ただ・・・」
「ただ?」
「彼らの上官の救出には成功しました。証人が何とか得ることができました」
ヘンケンは頷いた。彼らの救出したシローについての状態を聞くと、ティターンズに呪詛の言葉を吐いた。
「ええい、忌々しい。奴らの思惑全てが人をもの以下でしか思っていない。こんなクズに手を拱いているオレらは一体なんだ!」
ヘンケンがそう艦長席で怒り叫ぶと辺りの空気がズンと重くなった。
バニングが追加で報告を入れた。
「艦長。更に気を悪くするかと思いますが・・・」
「なんだ」
「彼を見つけた廃棄場で打ち捨てられていた死体の分かる範囲でのリストです」
ヘンケンがバニングから渡された遺体リストを眺めた。民間、軍問わず多数の名前が載っていた。
その中にはモーリン・キタムラ、サマナ・フュリス、フィリップ・ヒューズも書かれていた。ヘンケンは静かに黙とうした。この者達の無念を晴らす為、シローの回復を祈っていた。
ヘンケンは一息ついて、通信士にブレックスとの回線を繋ぐように命令した。
* トリントン基地内 ブレックス執務室
数分後、トリントン基地に居るブレックスと連絡が付いた。
「ヘンケン艦長か。何かあったか?」
ブレックスは基地の執務室でLIVE映像回線でヘンケンを見た。とても深刻そうな顔をしていた。状況は多少なり知っていた。エゥーゴは窮地に立たされている。
ヘンケンが述べた案件はそれと別でティターンズの非人道的行為についての話だった。
ブレックスはそれを聞き、ティターンズを罵っていた。
「成程な。コリニーが考えそうなことだ。いやジャミトフか・・・」
「証人の回復が一縷の望みです。資料的証拠も盗難したものですし、内部資料として裏付けるには生き証人が」
「それでシロー・アマダという者は?」
「今、艦内医務室をICU状態にして24時間監視中です」
「了解した。こちらからも医師団を派遣する。もうすぐラー・アイムが到着して、ダカールの議会に向かわねばならない。タイミングで間に合えば良いが・・・」
ブレックスがそう言うと、執務室にセイラが入って来た。
「議員、明朝シナプス隊が入港します」
「わかった。注文した資料はそのテーブルに置いといてください。忙しい中有難う」
「いいえ、私は先んじてダカール入りしますので後日お会いしましょう。失礼致します」
セイラは一礼して、退出していった。ブレックスはセイラにア
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