33話 所業の残骸 3.2
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を利用させてもらうよ」
そう声が話し終えると、目の前のアイナがビクッと反応し、目覚めた。
「アイナ!」
シローがそう叫ぶ。アイナも何かを叫んでいるが声が聞こえない。恐らく遮音性抜群なガラスなんだろうとシローは悟った。
そこからはあまり何も思えていない。ただ痛みの連続とアイナの慟哭しているような姿と悶え、苦しむ顔、アイナの顔から表情が消えたこと。それぐらい。
シローはぼんやりと現実に戻って来ていた。
「(・・・生きなければ・・・)」
意識が明確になってくると痛みを思い出し、その激痛に耐え切れずまた意識が遠のく。
その時が一瞬だが冷静に考えることができる時間だった。
「(次の痛みで・・・)」
彼の精神力は並大抵の代物ではなかった。またぶり返して繰る痛みに痙攣しながらも、より強い痛みを感じながら、一つ一つその死体置き場から抜け出そうと行動していた。
自分でもいつ意識が落ちるか、それが恐怖だった。
それは死と同義だと自分でも理解しているからに他ならない。
上手く死体の山から転がり落ちて、床に体を打ち付けた。
「うっ・・・ああ・・・ああああああああああああああああああああああ」
シローは激痛に雄たけびを上げた。すると目の前が明るく、外気が入るような感覚を受けた。
* 極東 日本 北海道地域 ネェル・アーガマ艦橋 3.2 10:00
艦長のヘンケン大佐は艦長席で苛立っていた。ティターンズの焦土作戦により、解放地域での食糧難に陥り、解放に来たエゥーゴが人民の支持を得ることができず、逆に反感を食らう嵌めに陥っていた。
「ティターンズは弾圧すれど食わせてくれた。だけどお前らが来て明日の食事もままならない。それを抑圧を解放したから後は好きにやれなんて無責任にもほどがあるぞ!」
と、大体の解放した地区からの容赦ない身勝手な叫びと不満をエゥーゴにぶつけていた。
「・・・ったく、宇宙からはるばる来たってのに。地球のティターンズの弾圧で助けてくれといったから彼らの支配から解放してやったと言うのに・・・」
ヘンケンがぼやくと傍に居たバニング中佐がため息を付いていた。
「これが俺達軍属の限界なんでしょう。ティターンズは軍と政治、経済一体で取り組んでいる。奴らを支持する与党がそれを可能としているからですね」
艦橋の空気はずしりと重い。艦橋にはモンシア、ベイト、アデルそしてアレンが居た。
あの陽気なモンシア大尉ですら沈んでいた。
「はあ〜・・・オレたちは何をしにここまできたのかねえ〜」
そうぼやくとベイトとアデルが揃って首を振った。アレンはオペレーターに新着の情報が無いか声を掛けていた。
「どう?何か士気が上がる情報ない?」
するとオペレー
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