機動戦艦ナデシコ
1356話
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……と、何かを思い出すように呟くグリューノだったが、やがてその名前が何を意味してるのか理解したのだろう。グリューノの顔は見て分かる程に引き攣る。
「そう。クロッカス。連合軍が俺のミロンガ改を奪おうとして襲ってきた時に使われていた駆逐艦だな」
「いや、それは……」
「ああ、別にそれを責めるつもりはない。その辺に関してはネルガルとエザリアに任せているからな」
その言葉に、再びグリューノの表情が引き攣る。
当然だろう。エザリアがどれ程手強い交渉相手なのかというのは、ここ暫くの交渉で実感している筈なのだから。
ネルガルの方にも、プロスペクターのような手強い人物がいる。
「とにかくだ。その件は後回しにするとして、このクロッカスは地球にあった筈が、チューリップに呑み込まれて火星に転移させられた訳だ」
火星に転移という言葉に、グリューノの顔が引き攣る。
さて、木星蜥蜴のボソンジャンプに時間移動の要素があった件……それをグリューノはどこまで知ってるんだろうな。
「ちなみに、火星でこの艦を見つけたと報告があって見に行った時は、艦体のいたる所に雪が積もって氷がこびり付いて、氷柱が生えている状況だった。とてもじゃないけど、俺たちが地球にいた時にチューリップに呑み込まれたとは信じられない程の時間が経ってるような、な」
「それは、つまり……木星蜥蜴の転移には時間移動も含まれている、と?」
さて、この発言は猫を被っているものなのか、それとも本当に時間移動については知らないのか。その辺は多少気になるが……ともあれ、アカツキにしたのと同じような話をするというのも芸がないような気がするな。
「さて、どうだろうな。その辺は木星に調査団を派遣すれば多分分かるだろ」
「待って欲しい。出来れば、木星に対して手を出すような真似は……」
「おや、何でだ? こんなに大きな案件が判明したんだぞ? なら、当然それを解明するのは俺たちとしてはおかしくないと思うが? 特に現在火星で木星蜥蜴と戦っている、俺たちとしては」
正直なところ、チューリップを構成している素材の重要性はシャドウミラーとして非常に大きい。
各世界に存在する合金を合成する為の最重要の素材がチューリップを構成している素材なのだから。
しかもチューリップがないと合金を作れないとなると、G元素とかを始めとした稀少素材より、こっちの方が重要だろう。
そもそもマブラヴ世界の火星の最大級のハイヴ、マーズゼロを俺達が占拠して基地化した以上、G元素を入手するのは難しくない。
寧ろ現状で一番入手が難しい合金に使える素材は、バジュラから取れるフォールドクォーツだろう。
バジュラとの最後の戦いで大量に死体を入手し、その殆どを俺の空間倉庫に保存してある以上、素材を使い尽くす
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