機動戦艦ナデシコ
1356話
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
こそだろう。
そんなグリューノをその場に残し、俺はそのまま草原の真ん中……グリューノや技術者達から離れた場所へと向かう。
俺の姿に気が付いたのか、技術者達がお互いに目配せをして俺の方へと視線を向けてくるが……これから何が起きるのか理解していないらしく、その視線には多大な好奇心が混ざっていた。
この辺は軍の技術者であっても、普通の技術者とは変わらないな。
そんな視線を向けられながら、俺は空間倉庫のリストを脳裏へと出す。
そうして次の瞬間には……俺のすぐ隣に、駆逐艦のクロッカスがその姿を現していた。
「なぁっ!?」
技術者達の方からそんな声が聞こえてくるが、初めて空間倉庫を見た者の反応としては一般的だろう。
当然のように、グリューノも驚愕の表情を浮かべたまま俺の方へと向かって走ってきている。
「ア、ア、ア、ア、アクセル代表! これは一体!」
普段は冷静な風に見せ掛けているグリューノだったが、その本質はかなり熱くなりやすい性格をしている。
そう考えれば、この反応はそうおかしなものではないのだろう。
「見覚えがあるだろう?」
「勿論だ! これは連合軍の駆逐艦。……それは分かる。だが、何故アクセル代表がこの駆逐艦を!?」
「落ち着け。その辺はしっかりと話すから」
興奮した様子のグリューノを落ち着かせるように告げると、それで我に返ったのだろう。グリューノは咳払いしてから、改めて口を開く。
「見苦しいところをお見せした。……だが、私がこれ程取り乱した理由についても分かって貰えると思えるが?」
「ああ。……まず、この艦をどこで入手したかだが、予想は出来てると思うけど火星だ。シャドウミラーの実働班が火星における木星蜥蜴の殲滅をしているのは知ってると思うが、その時に実働班が見つけてくれたんだよ。火星の大地に凍り付いている連合軍の軍艦があるってな。で、それがこれな訳だ」
「……火星に? いや、だがこうして見る限りでは特に損傷はないようだが」
だろうな。普通火星で見つかった連合軍の軍艦と言われれば、墜落したものだと思い込んでも不思議はない。
「そうだな。けど、損傷の類はどこにもない。いや、軽く擦った傷とかはあるけど、それくらいのものだ」
「何故、そんな軍艦が火星に?」
「それは、お前の方がよく知ってると思うけどな」
「私が?」
俺が何を言っているのか全く分からないといった様子のグリューノだったが、そこに致命的な一言を口にする。
「この駆逐艦の名称、何て言うのか知ってるか?」
「いや。このタイプの艦はかなり量産されているから、こうして見ただけで名前はちょっと分からないな」
「……クロッカス。それがこの艦の名前だ」
「クロッカス?」
クロッカス、クロッカス
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ