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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
58 戻橋
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りします。あと坊っちゃんのお時計はどういたしますか?一応、修理に出すだけ出してみますか?」
「いや、修理できなさそうだから、やめておこうかな」
「でもまだ生産終了になってそう経っていませんので、パーツはまだ在庫があるかと。脱磁してやればまだ使える部分自体は多くあると思いますので、見積もりだけなら料金も掛かりませんし、結果を待ってみるというのも1つの手ですが」
「…じゃあ、頼もう」
「かしこまりました。ではお手数ですが、またこちらの依頼書の方に必要事項のご記入を」
「んっ……」

アイリスは彩斗の字が汚いことに気づく。
さっき書いていたハートレスの時計のオーバーホール依頼の時はハートレスへの当て付けにわざと下手に書いているのかとも思ったが、自分の時計の依頼書の字も大して変わらない。
だがそれは彩斗に限った話ではない。
今の時代の子供たちは幼い頃からパソコンや携帯端末に触れ、キーボードを使わずとも、音声で自動
入力・変換される文字をわざわざ覚えたり、読み書きしたりしないのだ。
恐らくメリーも彩斗程ではないが、字を書くのは苦手なのかもしれないと勝手に予想していた。
しかしそんなことを考えながら、ふとアイリスは自分が彩斗のことをずっと観察していることに気づいた。
それもそのはずでまだ出会って数日しか経っていないのにも関わらず、不思議とずっと一緒にいたように感じているが、アイリスは彩斗のことを何も知らないに近いのだ。

「あぁ、思い出した」
「何を?」
「10年くらい前に前に私がI.P.Cを左遷されて、系列の会社を部門をたらい回しされていた時のことです。ここではない別の系列量販店の売り場にやってきた20歳前後のカップルがいたんですが、その2人が買っていかれたものです」
「10年も前に売ったものを覚えてるのかい?」
「女性の方がすごく美人だったので…」
「結局、そこなんですか…」
「いや、でもその時、ちょうどクリスマスシーズンでカップルや夫婦向けに2万ゼニー以上の時計の裏蓋にメッセージを無料で入れるサービスをやってまして、まぁ今でもやってますが」
「へぇ〜いいなぁ…いつか私も…」

メリーがこの前に観た恋愛ドラマのワンシーンに自分の姿を投影し始め、完全に自分だけの世界に入り込んでいる中、彩斗とアイリスは久鉄の口から語られるハートレスについて興味を向けていた。

「その時のカップルが注文する時に入れたメッセージだったもので」
「そのカップルはどんな2人だった?」
「えっと、ハタチ前後…大学生か、院生くらいの若者で、女性の方は申し上げた通り、本場パリのトップモデルさながらの美女」
「男の方は?」
「えっと…何というか…確かにイケメンではあったんですが、女性の方とは少し吊り合ってないような…雰囲気が違う感じでしたな
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