精神の奥底
58 戻橋
[9/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
員の目線から見ても、なかなかいない目利きなお客様です。今着けてらっしゃる時計も素晴らしい上に美しい」
「それはありがとう」
彩斗が今着けているのは、OMEGA・シーマスター プロダイバーズ300 コーアクシャルクロノメーター。
サイズは男女兼用のミッドサイズでその美しいブルーダイヤルは見る者の目を奪う。
またその美しい外見とは裏腹に、シーマスターの名の通りの300メートル防水で高い耐久性を持っており、性能面においても、汎用ムーブメントをベースにしつつ、高精度を維持するチューニングと摩擦を低減するコーアクシャル脱進機を搭載し、C.O.S.C.による厳しい審査により高精度を約束されたクロノメーターの認定を受けている。
その防水性能と高い精度からあらゆる国の海軍でも愛用者は多い。
「オーバーホールは必要ありませんか?」
「多分、あと1年そこらは大丈夫。でもこっちの時計はオーバーホールを頼みたい」
彩斗はスターキャリアーの話題のあたりで既に頭の片隅に追いやられていたハートレスからのおつかいを思い出した。
ハートレスが愛用していたOMEGA・コンステレーションだ。
久鉄は受け取ると、少し顔色を変えた。
「おぉ、これもいい時計だ。でもこれはレディース…前にも見たことがあるような…」
「初めてのおつかいって奴かな。ここに行くって言ったら、ついでに持って行って欲しいって言われてね」
「お母様ですか?」
「…まぁ、そんなところ」
「いいですなぁ。御二人のお母様ともなれば、相当な美人に違いありません。いいですなぁ…あぁ、こちらの依頼書に必要事項のご記入を」
「いや…まぁ、お母さんというか、あしながおばさんというかね」
「あんなお母さん嫌ですよ!確かに美人だし、スタイルはいいけど…冷たいし、無愛想だし、いつも命令口調だし。体に血が巡ってるかも怪しい氷の女です、あの人は」
「おぉ…妹さんの方はお嫌いでいらっしゃるようで」
ハートレスの話題になった時、メリーは怒った。
隣にいたアイリスは全く予測できなった事態に依頼書を書く彩斗の背中に逃げるようにくっつく。
そして久鉄も自分の人生の5分の1生きているかどうかも分からない幼い少女の放つ年相応ではない剣幕に持っていたピンセットを落とした。
「まぁ、いろいろあって。あぁ、書き終わったよ」
「あっ、はい。お支払いは?」
「カードで一括払い。パーツの交換や追加料金が必要になったら、この番号に連絡してやってくれ」
「あと今、このようにインターネットがダウンしていろいろ混乱している時期ですので、通常よりお時間が掛かることが予想されますが、よろしいですか?」
「構わないよ。どうせ、代わりの時計なんていくらでももってるはずだし」
「ありがとうございます。ではお時計の方はお預か
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ