精神の奥底
58 戻橋
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る武器にも成りうる。
更には、恐らくこの商品の発売によって電波人間や電波体の存在はかなり身近なものになるだろう。
そうなれば今でさえこの街で問題になっているような、電波人間による犯罪が横行する可能性も高くなる。
科学技術の発展にはつきものだが、使いどころを間違えば危険なものになるという法則がこの新商品に関しても例に漏れず、執念深い蛇のようにつきまとっていた。
3人は次の階へのエスカレーターに乗り換える。
「すごく広いのね」
「うん、売り場面積はニホン最大規模だからね」
「でも何年前に不景気の煽りを受けて、経営難になったことがあって、I.P.Cグループの参加に入って事無きを得たんですって」
「その時に建て替えられてリニューアルオープンしたんだ。売り場は前の建物の3倍。携帯端末からデジカメ、PC、美容家電、時計、テレビ、レコーダー、オーディオ機器はもちろん薬剤師在駐のドラッグストア、ゲームコーナーとゲームソフト売り場、外国人向けのお菓子やニホンのおみやげコーナーと何でも揃ってる。それに上にはレストラン街まである」
「本当に電気屋さん?」
「まぁでも、ポイントがいろんなことで使えるから…便利って言えば、便利な気も…」
アイリスは周囲を見渡すと、50インチの最新型のテレビの説明を受ける老夫婦がいた。
老後の生活に彩りを加える大画面で高精細、インターネット上の動画ストリーミングサービスに対応し、まるでそこにいるかのような臨場感とニホンの工業製品のテクノロジーを肌で実感できる一品だ。
しかしよく見れば、インターネットが使えないせいで、多くの機器はデモで本領を発揮できずにいるのが、ネットナビであるアイリスにはすぐに分かった。
それと同時にこの事件の大きさを改めて感じた。
「ここだ」
3人は先程までのデジタル感溢れるフロアとはまた違ったエリアに降り立つ。
美容家電やマッサージチェアの他、スポーツ用品、時計などが置かれている。
しかし彩斗は先程までとは違い、あまり周囲に目をくれずに奥へと進んで行く。
だがアイリスもメリーも進めば進む程、徐々に客が少ないエリアに向かっていることに気づいた。
それにこのフロア自体が1つ下のフロアに比べて、圧倒的に店員の数も少ない。
それもそのはずで、彩斗が向かっているのは売り場ではないからだ。
「やぁ、相変わらず、“忙しそう”だね」
「おや?坊っちゃん!…これはこれは」
彩斗は奥のカウンターの近くで本を読んでいた男性店員に声をかけた。
「可愛いガールフレンドを連れての来店は3回目ですな」
「この子は前に来たことがあるよ。妹だ」
「あぁ!お久しぶりです。大きくなられて。それにそちらのお嬢様は童話のお姫様のように可愛らしい」
「どっ、どうも…」
「あっ、ありがとう…
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