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空虚で無気力な青年が異世界で新生活〜改訂中〜
プロローグ
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ることを指しているわけではない。

亭主関白の本来の意味は、妻を補佐する夫のことを指し示す言葉らしい。

俺もテレビで言っているのを聞いただけだが、恐らく本当なのだろう。

……止めよう。

朝からあんな奴のことを考えていては、テンションが下がりっぱなしだ。

俺は奴のことを意識から除外すると、今日の授業について考え始めるのだった。




今日の授業を終え、俺は同じ学科の友人たちとまた明日と言いながら、教室を後にする。

専門学校での友達は、面白い奴ばかりだ。

彼らと話すことは、俺としても楽しいことだ。

だが、それでも俺の心には穴が空いている。

時々、不意に空虚な気持ちになるのだ。

俺はただ毎日やって来る今日という日を、惰性で過ごしているだけなのだ。

惰性で過ごす日常に、充実は無い。

そんな時、俺はふと今の現実から逃げ出し、旅をしてみたいという気持ちになる。

俺はまだ、何も知らない。

この世界のことを、万分の1も知らないだろう。

自分の知らないところを旅すれば、この心の空虚さは埋まるんじゃないかと。

だが、その後のことを考えれば、そんなことが出来るはずもない。

そして次に浮かんでくるのは、自分が生きていることに意味があるのか、ということだ。

俺は、今すぐにでもこの答えが知りたい。

同時に、答えを知るのが恐ろしい。

意味が無いのであれば、俺の存在は無意味。

ただいるだけという、無意味な存在になってしまう。

そして俺は、死を考えてしまう。

ゲームや漫画の中で描かれる、勇者などの必要とされる存在。

俺もそういう世界に行って必要とされれば、この空虚さは埋まるのだろうか。

家までの帰り道。

俺の頭は答えの出ない、迷宮を彷徨い続けている。

俺はバカバカしいと思い頭を切り替えると、今日の夕食について考える。

俺は料理が出来ない。

いや、出来るのかもしれないが、面倒なのでやらない。

家事なども嫌いではない。

ただ面倒なだけである。

それを小学校からの友人に言ったら、ダメだろ、と言われてしまった。

まったくその通りだ。

俺は信号が赤になったのを確認し、ブレーキを使い止まる。

料理が面倒なため、結局は惣菜になってしまう。

まぁ、美味いから良いんだが。

その瞬間、俺の身体は浮遊感に見舞われる。

そして、次に襲って来るのは固いコンクリートに落下した衝撃。

痛みで身体が動かないので、視線だけを動かすとトラックが電柱を二つ折りにしているのが見えた。

なるほど、撥ねられたか。

痙攣する手で身体を触ってみると、手にはべっとりと血が付いている。


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