99話 徒労
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くなったらそこで待ってるかいっそ私は外にいた方がいいかなぁ。魔物を舐めてる訳じゃないけどね、リーザスの塔に出る魔物なんてだれか一人で十分なんだもの。
どれだけ数が出たって、エルトには薙ぎ払いが、ヤンガスには斧無双が、ククールにはバギクロスがあるし、数を危険視できるほど強くないってこと。私たち、それを考えると随分強くなったのかも。
あ、でも戦い慣れしたってのも大きいかもね。
なんて考えてると頭痛がギリギリしてきたし体の周りで魔力がパチンパチン弾けてきたからエルトに目配せ。やっぱり私は外で待ってた方が良さそうだ。
「この先の魔力は頭痛くなるだけだから!じゃ、待ってるね!」
事情を知らないククールが訝しそう。まぁすぐ分かるって。あの神聖な空間は神聖で犯しがたい静かな場所だけど、同時に……今ならわかるけどあの赤い強大な力を宿した像の目が魔力を大量に宿してるからね。クランスピネルを手に入れたらエルトたちに私、近づけないかも。
あぁ思い出す。あの石の煌めきを。美しいという陳腐な言葉では言い表しきれない光を宿したあの瞳。あれは私の力を奪い、なのに私のどこかはあれを焦がれるほど求めた。
理由なんてわからない。魔法が使えない、私の嫉妬が現れたものなのかもしれない。手を伸ばした先に、邪悪な力なんて欠片も宿さずにきらきらしていたあの宝石を見た私は普通じゃなかったかも。
まぁ、あれはいい物だろう。私にはひたすらよくない物だけど。
じゃ、さっさと出ようかなっと。
たくさんの赤い蛙を私は剣気で切り裂き、血や体液の滑りで足を取られないように気をつけつつも猛然と私は駆け出した。
遠ざかれば遠ざかるだけ痛みも心の不思議なときめきも薄れていく。安心した。あぁ安心した。
魔法を使いたいとはもはや思わないけど、私は「魔」のつくものに近づいては囚われるのかもしれないなぁ。
ちなみに。ククールがリーザスの塔にいた私の目を「緑だった」なんて言うものだからますます混乱したよ。紫色に変わるのは慣れっこだけど、どうして緑なんだろうね。変わらないのが一番だけど、変わるにしてもせめて規則性ぐらい分かってた方が対処が出来ていいんだけどなぁ……。
……緑の瞳、か。そういえば、姫と同じだね。姫の瞳は美しく輝くエメラルド。そうだろう?
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