本来の力
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「俺たちの誤りを正す?」
「そうだ」
顔についた血を模様のように伸ばすカミューニさん。その様はまるで狂気に溢れる犯罪者を見ているようで、はっきり言うとかなり怖い。たぶん、ラクサスさんも同じことを考えているんじゃないだろうか?
「道を踏み間違えたのはあんただろ?勝手に悪魔の心臓に入って、しかもそのマスターを殺すためっていう不純な動機で」
評議院だった悪魔の心臓七眷属のリーダーであったウルティアさんに接触するために聖十大魔道に登り詰めたカミューニさん。その理由は、ハデスに近付き殺すため。だけど返り討ちにあった彼は、そのギルドに所属して何度もチャンスを伺ったって聞いている。
闇ギルドに入ったことも、その理由も間違いだと主張するノーランに、カミューニは大きくうなずく。
「その通りだ。俺はやり方も何もかも間違っていた。もっと違うやり方があっただろうに・・・それを模索することすらしなかったんだ」
天を見上げ物思いにフケながら、彼はかつての自分の過ちを思い返している。今でこそ罪を清算するために、独立ギルド魔女の罪を作り所属している彼だけど、悪魔の心臓にいた時は周りなど見えず、ただただ自分の目的のために戦い続けていたんだと思う。
「だが、俺のその過ちを正してくれた奴がいた」
そう言ってかがみ、俺の頭をグリグリと撫でるカミューニさん。その行動に少し照れ臭さを覚え、ハニカム。
「こいつのおかげで俺は・・・間違っていることに気付いた。だから俺は・・・お前を正しい道に連れ戻す」
頭を撫で終わり、ゆっくりと立ち上がりながら視線を鋭くさせる。その目は七年前の天狼島での戦闘を思い出させるほど、鬼気迫るものだった。
「正しい道・・・ねぇ・・・」
カミューニさんの決意を聞いたノーランは、口に手を当てクスクスと笑っている。それを見た俺たちはイラっと来たが、カミューニさんに制止されなんとか気持ちを落ち着ける。
「もう知ってんだろ?俺はゼレフ書の悪魔だ。俺に取っての正しい道は、ゼレフの元に帰ること。それ以外に意味なんかない」
冥府の門は全員がゼレフ書の悪魔で構成されたギルド。故に、彼らの幹部クラスであるノーランもまた、ゼレフ書の悪魔ということになる。だから彼らに取っては、ゼレフのために戦うことが正義であり、絶対なんだ。
それを聞いてカミューニさんはどうするのかと視線をやると、彼は目を閉じ意識を高めている。
「問題ない。お前を正しい道に送る方法なんていくらでもある。例えば・・・土に返すとかな」
「面白い。やってみろよ」
カミューニさんの一言で両者が魔力と呪力を高めていく。二人の異常なまでに高いその力は、周
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ