暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第234話 剣の聖域
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――心をくれた。そう言っても良い彼女に、自分達は何か、してあげられる事は無いだろうか?

 それは、ずっと考えてきた事だった。ユウキとラン、2人が考えてきた事だった。

 そして、毎日辛かった日々が無かったかの様に思える様になったその頃からだった。同じく笑顔で囲まれた仲間達、《スリーピングナイツ》が始まったのだ。

 切っ掛けが、彼女との出会いからだったのは、もう 言うまでもない事だった。

 だから、彼女を《スリーピングナイツ》のリーダーに推薦をしたりしたのだが、残念ながら笑顔で躱されてしまった。

『リーダーの様に引っ張っていくのではなく、笑顔でみんなを見ているのが楽しいから』

 そう、彼女は言っていた。

 最終的には、初代リーダーは《ラン》となり、皆の相談役になってくれた。ぶっちゃけると愚痴の聞き手、ともいえるかもしれない。だけど、笑顔だった。ずっと、ずっと―――。



 これは、刹那の時間での、ランの心の中である。


 目の前の彼と対峙し、残りカウントが1から0になる寸前に、思い出したかつての記憶が湧き出たのだ。だが、思い出に浸り続ける事は出来なかった。その時も永遠には続かないのだから。

 泡の様に――彼女(・・)との思い出が薄れていき……、軈て水面に滴を零し、波紋が生まれて掻き消える様に……思い出の光景が消えた。不思議と寂しさの類は一切なく、ただただ同時に眼前にいる彼に、完全に集中していた。


 【DUEL】


 勝負開始の合図、そのブザー音が鳴り響いたのだ。

 剣聖のランと白銀のリュウキ。そのカードは紛れもなくプラチナカードと言える。

 そして、先ほどの 《アスナ&レイナ VS ユウキ&ラン》の試合とは、全く違う展開を見せていた。

 開始直後に、閃光の様な速度で接近したアスナ達、そして 超が2つは付きかねない程の反応速度を持って、迎え撃ったユウキとラン。つまり、始まりと同時に目にも止まらぬ速度で動き初めていたのだが――、2人は、【DUEL】と宣告されたのだが、動く気配を見せなかった。

 ただただ、剣先を相手に向けて……、まるで居合の打ち合い、昔の侍映画の決闘でも見ているかの様だった。場の空気だけが、張り詰めていき 見ていた観客(ギャラリー)達は、自分自身の息をのむ音でさえ、大きく聞こえる程だった。

 その場に流れる緊張感故に、凄まじい程の体感時間を感じていた。それは他者にまで伝える程のものであり、感じた者達は、まるで『永遠に続くのか?』 とも思えていたのだが、軈て、凍り付いていたかの様な時は、動き出す。

「はぁっ!!」

 時の秒針が動き出す。――動き出すと同時に、ランの凛とした裂帛の気合が場に響いた。

 間合いを取っていた筈
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