深淵-アビス-part1/安息無き戦士
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まぁ、わかるけどさ」
「…」
ずっと長く暮らしていなくても、今回テファの元気のない理由などすぐに浮かぶ。いつしか日常の一部となっていたシュウの存在への喪失感。それがわかららないわけがなかった。
極めつけは、別れ際に彼がテファに言ったという、「足手まとい」という冷たい言葉。
しかし、前々からおかしいところはあったとは思うが、シェフィールドの魔の手から逃れるためにアルビオンから脱出した時期から、シュウはおかしくなっていた。会ったばかりの頃から暗い一面を覗かせていたが、それでもまだ堅実かつ的確な戦いができていたはずだし、子供たちへの世話も欠かさなかった。変身して戦い、怪獣らの脅威から多くの人たちを守っていたのだから。
ところが、村がシェフィールドの使役する怪獣に襲われたあたりから一変した。まるで血に飢えた怪物のような獰猛かつ凶暴な動きで敵を屠りだした。
しかも、テファが幼い頃に親交があったヤマワラワまであの戦いで姿を現した。しかも、彼のように暴走してダイナに変身したアスカを襲い、シュウの救出を妨害するという信じられない行動をとってきた。
一体何があったというのだろうか。これ以上テファのこんな姿も見てられないし、シュウを結果的にこの世界に引き込んだ責任が自分にもあることを自覚しているマチルダは、いつかシュウを探してつれて変えるためにも、とりあえずテファから何かを聞き出そうと考えた。もっとも、今はそっとしておくべきとも思っていたが、ウルトラマンでもあるシュウという後ろ盾がない。空賊たちも、所詮は自分と同じ裏社会の存在である賊だ。どこまで信用するべきかといわれると迷う。だから、テファのためでもあるがシュウを一刻も早く見つけ出してやらなければならない。
今は、地下水がアルビオン兵であるヘンリーの体を無理やりお借りして、この辺りがどこなのか、同時にシュウやアスカがどこに消えたのかを探ってもらっているが、ここにきてしばらく日が経っているが成果はない。今日はどうだろうか…。
「テファ、そういえばあいつ…アルビオンから出航しようって直前のときに、いきなり別行動をとってなかったかい?」
ふと、マチルダはシュウが、脱出目前というところで突如町の中に向かったときのことを思い出した。その場における最善の手を捨てるようなシュウではないはずだ。それだけ彼の気を引く何かがあったのか。
「姉さん…」
顔を上げたときのテファの顔は、それはマチルダにとって見たくなかったものだった。きれいな青い瞳さえも赤く見えるほど、泣き疲れた果てに目が真っ赤になっていた。
「私って、やっぱり足手まといなのかな…」
マチルダの質問の答えにもならない、卑屈さに満ちた返答だった。
「足手まといだって…!?何を言い出すんだい!」
「だって…私…私のせいで、姉さんはお屋敷を取り潰されて貴族の名
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