深淵-アビス-part1/安息無き戦士
[3/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だ」
まだこの時点で、ノエルからの返事を聞いてなかったケインはそれを惜しむが、これ以上愛するノエルをこんな危険な場所に置いておきたくない。城から去るように言うが、ノエルは去らなかった。
「王子、いつぞやの求婚の約束を覚えていますか?今宵のように、美しい双月が輝いていた、あの夜を。今、あのときのご返事をいたしましょう」
「ノエル?」
突然、ノエルの口から、ケインから告白を受けたときの返事を答えると聞き、ケインは静かに驚いた。
「ノエルは…王子の妻として、ここで死を」
ウェザリーの脚本どおりだ。ここでノエルは、敵国の姫だったことを思い出したが故にずっと言えなかった告白を…ケインの妻となることを選んだ。しかし、このままだとケインはノエルの国の兵たちに殺され、永遠に離別する。もう自分たちの幸せな未来は訪れない。ならばせめて…ノエルはここで死後の世界もケインとともにあり続けることを選んだのだ。
「姫がおられたぞ!」
「王子は殺してもかまわん!だが姫は無傷で保護するのだ!」
しかし、ここでギーシュ、レイナール、ジュリオたちが演じるノエルの祖国である帝国兵が押し寄せてきた。
「ありがとう…ノエル。僕はどこまでも、君と共に…」
兵が自分たちの下に来る直前、塔から二人は共に身を投げた。そこで劇場が一度暗転し、再びスポットライトが照らされる。
二人が落ちた塔のすぐそばで、白い花が二つ、寄り添うように咲いていた。
素人がまさかのメインキャストという前代未聞の舞台『双月天女』はこれで終幕となった
「それでは皆様、最後に盛大な拍手をお願いします!」
監督であるウェザリーの声とともに、客席から盛大な拍手がサイトたちに送られた。
その後の楽屋…
「はい、これ。約束のバックよ」
ウェザリーは、以前拾ったというハルナのかばんを、約束どおり彼女に返してあげた。
「あぁ!ありがとうございます!!
ほら、平賀君!ここの隠しポケット、私のものだってわかるように、財布を入れておいてたの」
故郷から偶然持ってきた貴重な私物を取り戻せたハルナは満面の笑みを浮かべた。証拠として、彼女はサイトにバックの中の隠しポケットに入れていた財布を見せた。
「なるほど、色々悪かったわねハルナ」
「いえ、いいんです。ちゃんと戻ってきてくれたんですから。
平賀君、ルイズさん。みんな…本当にありがとう!」
バックがちゃんとハルナのものだとわかり、ウェザリーも偶然とはいえ、彼女の財布を私物化しかけたことを詫びたが、ハルナは気にしないでほしいといい、サイトたち全員にお礼を言った。
「けど、私もハルナだけじゃなく、みんなにお詫びを入れないといけないわね。私もまた、ハルナと同じであなたたちを自分のわがままに付き合わせたのだから」
「いやいや、ミス・ウェザリー。素敵な女性の願
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ