第十三話 人間だからその十
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優花本人もだ、龍馬に打ち明けてからだった。
さらに明るくなった、そして。
この日は龍馬と共にだ、下校の時に吉野家に寄ってだった。牛丼を食べつつこうしたことを言ったのだった。
「何かね」
「どうしたんだ?」
「最近牛丼食べていなかったよ」
そうだったというのだ、吉野家の席で並んで座って食べながら。
「本当にね」
「そうだったんだな」
「食べる気分じゃなかったから」
「何か牛丼ってね」
牛丼についてだ、優花は自分の考えを話した。
「結構気分が乗っていないと食べられないよね」
「そうだな、ハンバーガーとか肉まんに比べてな」
「結構ボリュームがあるしね」
「並でもな」
「御飯だからね」
「軽食って言えば軽食にしても」
「お腹にたまるから」
肉と御飯があるからだ、それでだ。
食べるとボリュームがある、そうなのだ。
「食べるにはね」
「気分が乗っていないとな」
「うん、食べられないから」
「これまではか」
「姉さんに言われてからね」
身体が女になっていく、そのことを言われてからである。
「ずっと気持ちが晴れていなかったから」
「やっぱりそれでか」
「うん、けれどね」
「今はだな」
「食べられるよ」
こう微笑んで言うのだった。
「この牛丼をね」
「そうか、よかったな」
「美味しいね、牛丼って」
「ああ、牛丼はな」
見れば二人共牛丼に卵と紅生姜も入れている、優花の牛丼は並であるが龍馬のそれは特盛である。そして龍馬は味噌汁も一緒である。
「癖になるな」
「早い、安い、美味しいだよね」
「こんないいもの他にないな」
「そうだね、お腹が空いた時は」
「これがいい、けれど御前の言う通りな」
「気分が乗っていないと」
どうしてもというのだ。
「食べにくいよね」
「そこが不思議だな」
「牛丼はね」
「そして食える時に食うと」
それがというのだ。
「余計に元気が出るな」
「人って落ち込む時は徹底的に落ち込んで」
そしてというのだ。
「上向くとさらにだね」
「上向くよな」
「そうなっていくよね」
「どん底まで落ちることもあれば」
落ち込みさらにである。
「頂上まで登ることもあるな」
「どっちもあるね」
「ああ、そして御前はな」
「やっぱり凄く暗かったからね」
自分から見てのだ、これまでは。
「どん底だったね」
「どう見てもな」
「絵もね」
部活で描いていたそれもだ。
「どうしてもね」
「暗かったんだな」
「黒をよく使っていたよ」
色のそれをというのだ。
「青どころかね」
「青っていうとピカソだよな」
「そう、青の時代ね」
龍馬にこのことも話していたのでここでは深く話さなかった。
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