陰口はやめようぜ
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ルフヘイムもウォーロッドも、みんな大したもんじゃない。リュシーはゴッドセレナに勝ったこともあるし、カミューニだって奴等を叩き潰せる。もちろん俺もな。だが・・・」
広げられていた右の手のひら。彼は歯をきつく噛むと、同じようにそれを握り締める。
「あいつは・・・カミューニがハデスに負けやがった!!力では間違いなく奴の方が上だったと俺は思ってる!!しかし、あいつは勝てなかった。その理由・・・お前らならわかるだろ?」
カミューニさんが勝てなかった理由・・・かどうかはわからないけど、彼がハデスに挑み続けていた理由は知っている。それはきっと、彼と友人だって言うラクサスさんもわかるんだろうな。
「カミューニはメルディっていう幼馴染みを助けるために戦っていた。もしあいつが自分の復讐のために戦っていたのなら、ハデスを下すこともできただろう。それを奴はしなかった。だから負けたんだよ」
悪魔の心臓に住んでいた街を壊され、家族を殺されたカミューニさんとメルディさん。彼は家族の無念を晴らすため、そして、連れ去られたメルディさんを救うためにハデスに挑み、負け続けた。でも・・・
「カミューニさんは間違ってない!!」
「はぁ?」
動かない体を無理矢理起こし、ノーランを睨む。彼も同様にこちらを睨み付けて威圧してくるが、構わず話を続ける。
「カミューニさんはみんなのために戦ったんだ!!だからあそこまで強くなれたんだ!!それをお前が否定すんじゃねぇよ!!」
ハデスに挑むために聖十に入り、勝つために滅竜の魔水晶に手を出したカミューニさん。すべては家族や街の人たちのためだった。その気持ちがなかったら、彼はあそこまで強くなれなかったと思う。
「わかってないねぇ、アマチャン。ワガママな奴がこの世界じゃ生き残る。あんな偽善者、すぐに消えてなくなるよ」
「てめぇ・・・」
彼のその発言は俺もラクサスさんも、セシリーさえも苛立たせた。この万全じゃない体でも、こいつをぶっ倒したい。そう怒りに震えていると、後ろから足音が聞こえてくる。
「おいおい、陰口はやめようぜ」
聞き覚えのあるその声に、全員がそちらを向く。それと同時に、俺とセシリーは、思わず口を押さえた。
壁に打ち付けられた冥府の門の兵隊。彼らの体から飛び散った血液が壁を汚し、周囲に飛散している。
「そもそも、俺たちじゃまだ四天王には勝てねぇよ。調子乗んなよ、ノーラン」
暗闇から姿を見せる深紅の髪の青年。その姿を見て、全身に鳥肌が立った。
顔や服に返り血が飛び散り模様のようになっている彼は、両手に意識なく血まみれになった兵隊たちを携え、俺たちの前に現れた。
「なんでここに来た」
「けじめをつけに・・・な」
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