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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十五話 なりたいから
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かけると、彼は悲痛な表情で語る。
「俺……本当にダメなヤツだよな」
《……フェイト様のことですか?》
突然の言葉に、アマネはわかっていたかのように冷静に返答する。
黒鐘は静かに頷き、迫る木片を斬り伏せながら思い出す。
――――柚那のもとに向かう途中、黒鐘のもとにフェイトが現れた。
フェイトは相棒である契約獣のアルフを連れ、黒鐘に自宅に置いていたアマネを渡し、別れを告げてきたのだ。
柚那のこと、巨木のことがあった黒鐘はフェイトを止めることができず、彼女は去っていった。
何より彼女の決意に満ちた瞳に、黒鐘は留める言葉を見いだせなかった。
フェイトにバルディッシュを渡した時、彼女は小言で『ごめん』と呟いたのが頭から離れない。
「フェイトは母さんが自分を傷つける存在だと理解したはずだ。 なのに、帰ったんだ」
それがどれだけの覚悟だっただろうか、と黒鐘は考えただけで胸が締め付けられる思いだった。
同時に、そんな彼女を救うこともできなかった自分に対する怒りが溢れ出す。
両親を失い、姉も失いかけた過去を持つ黒鐘にとって、フェイトを救えなかったことは後悔してもしきれないことだった。
柚那を救って、フェイトも救う。
どちらも一度に救えるような力が欲しくて、努力して、強くなったと思っていた黒鐘は理解する。
「俺はまだ……こんなにも、弱い」
怒り任せに振るった刃が、魔力を乗せた斬撃となって周辺の木壁を破壊していく。
それを見て、彼の怒りを聞いたアマネは淡々と語る。
《マスター。 まだ、何も終わっていませんよ?》
「え……?」
《柚那様を救うことができました。 フェイト様は去りましたが、相方がいたようですし、命を失うようなことはないでしょう》
「でも、フェイトは傷つくんだぞ?」
《ならばまた救えばいいだけのことです。 今回がダメでしたら次。 次がダメでしたらそのまた次……何度でも、何度でも手を伸ばして差し上げればいい》
「……」
当然のように語るアマネに、黒鐘は言葉を失う。
力強く、真っ直ぐな言葉は黒鐘の心に響いて溶けていく。
「まだ、どうにかなるのか?」
《フェイト様はジュエルシードを求めてこの世界に来た。 でしたらジュエルシードが存在し、マスター達が探し続ければきっと、フェイト様と相まみえることになるでしょう》
「……そう、だよな」
アマネの言葉を受けて、黒鐘は強く頷いた。
そして崩壊する巨木を回避し、脱出していく。
もっと速く、速く……そして、強くなりたい。
皆を守れるくらいに。
誰も失わないために。
ただただ、強くなりたいと
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