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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十五話 なりたいから
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る、放つ……その繰り返しは銃の発射から装填までの流れによく似ていたのだ。

 意図せずして行っている動作について考える余裕もなく、黒鐘の思考はフル回転していた。

 抜刀術の精度や威力は集中力と乱さぬ構えによって生み出されるため、少しのズレによって不発になる可能性がある。

 そしてそのミスは自らだけでなく、後ろにいる高町 なのはの死を意味する。

 絶対にミスが許されない極限状態の中で黒鐘は、視切りの瞳で迫る全ての蔓の数と距離を捉えて理解し、順に斬り裂いていった。

「小伊坂くん、準備できたよ!」

 後ろから聴こえた高町の声に黒鐘は頷き、そして納刀の瞬間に駆け出した。

 狙っていた相手を失った蔓が地面に叩きつけられる中、高町は落ち着いた様子で杖の姿になったデバイス/レイジングハートを正面に構え、杖の先で収束した高密度の魔力を放つ。

 それは奇しくも、黒鐘が得意とするものと同じ魔法――――

「――――ディバイン・バスター!」

 引き金を引いた瞬間、桜色の魔力はレーザーのように一直線の軌道を描き、進行上に存在する全ての物質を破壊してしていく。

 背後ギリギリに迫ったそれを感じた黒鐘は跳躍し、足元から駆け抜けた桜色の閃光がジュエルシードを守る蔓の壁を破壊していくのを確認する。

 しかし蔓の壁が相当分厚かったのか、ジュエルシードそのものには届くことなく消滅した。

「いや、十分だ!」

 それは黒鐘にとっては十分な価値のある功績であり、風穴の大きさも黒鐘が突入するには問題ない広さを誇っていた。

 それだけ彼女が放った砲撃の威力、そしてそれに込められた魔力量が多いということ。

 十分だ。
 
 予想以上の威力に感動と驚きが混じりながら、黒鐘は風穴の中へ飛び込んだ。

 蔓の密集によって作られた防壁の内部は、まるでトンネルのように長い距離をなしていた。

 アマネが算出した数値で約100m。

 黒鐘はジュエルシード目掛けて、全力を以て駆け出す。

 元々脚力に自信がある黒鐘にとって、100mを一直線で駆け抜けるのは造作もなく、ものの数秒で到達する――――はずだった。

「っ!?」

 感じ取った気配に黒鐘は瞬時に右へ飛んだ。

 瞬間、黒鐘の左頬を、細い針のようなものが掠める。

 再び正面から迫るそれを左に回避しながら見切り、一本だけ掴んで確認する。

「これ、棘か?」

《恐らく木の枝でしょう。 それを針のように細く、鋭くすることで高速射出を可能にした……と言った所でしょうか》

 手に収まった細い木片に対し、アマネの冷静な分析によって攻撃の種類を理解する。

 どうやら正面から迫ってきた無数の針は、黒鐘をジュエルシードに近づかせ
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