暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 18
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 周囲をぐるりと見回した青年は、腕に巻き付けたままの鎖を軽く二回引っ張って、ミートリッテに移動を促す。
 外へ出たら問答無用で相手をぶん殴るなり蹴飛ばすなりして奪った鎖ごと逃走するつもりだったが、どうやらそれをするのはまだ早そうだ。背を向けて歩き出した青年には、全く以て隙が無い。奇襲を掛けてもこの男性には絶対勝てない、止めておけと防衛本能が訴えている。
 なにより、ハウィスの願いの意味を考える時間が必要に思えた。青年の言葉に登場する多くの集団、人物と、その関係性についても。
 村への早急な帰還は諦めてない。しかし、此処で何かを見過ごしたら、ハウィス達を余計な窮地に立たせてしまうのではないか。この胸騒ぎの正体を、帰る前に確かめなければ。
 「貴方達は……『誰』なんですか?」
 食材入りの箱を持って追い掛けるミートリッテに、青年は振り返りもせず
 「守秘義務につき、黙秘の権利を行使する」
 とだけ、答えた。


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