Side Story
少女怪盗と仮面の神父 18
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様、意識を失う前と変わらない服装。
靴は履いてないし、靴の代わりになる物も室内にはなかったから、これも脱走防止策の一つなのだろう。
「念入りすぎるよ、ハウィス。これじゃ、絶対に居るって教えてくれてるも同然じゃない」
もう一度立ち上がり、今度は鎖が届く限界まで扉に近寄る。
あと一歩の所で伸び切った鎖と、後ろに引っ張られている腕は無視。
目蓋を閉じ、扉の外に全神経を集中させた。
聴こえてくるのは波の音。
それから、木の葉が風に揺られて擦れる音。
鳥の声もする。
虫も……気配はするけど、大きくはない。
微かな隙間から覗く光も、夜にしては明るく見える。
多分、昼前後だ。
「よし。……っと、食べ物はきっちり避難準備しとかないとね」
食材が入ってる箱を扉の脇に移動させ、包丁は元の場所に戻しておく。
床に置きっ放しのランプを手に取り。
鉄細工で覆われた円柱型ガラスの内側を確かめる。
火を保つ油の量には、まだまだ余裕があった。
これなら、景気よく燃えてくれるに違いない。
「貴方の目にどう見えていようが、私はハウィス達を信じてるよ、神父様。だからもう……何も怖くなんか、ない!」
扉とベッドから離れた位置で、頭上へ掲げたランプを床に叩き付ける。
盛大な破壊音を伴って中身と欠片を撒き散らしたそれは。
直後、ボワッと風を起こして燃え上がった。
床に拡がった油を伝い、赤い炎が少しずつ大きさを増していく。
「……誰の所有物か知らないけど、ごめんなさい」
実行した後で、この場に居ない誰かに謝っても、意味はないのだが。
目の前で木造の壁が赤白い光に呑まれていく様を見ていれば、少しばかり申し訳ない気持ちにもなる。
損害賠償を請求されたらどうしよう? 借金はしたくないなあ。分割での支払いは有効かなあ……とか、頓珍漢なことを考えてしまう程度には。
「早め早めに来てくれると嬉しいんだけどな。また気を失ったら、家一軒の犠牲が無駄になっちゃう」
ベッド横の床に膝を抱えて座り、引き寄せたシーツの端で口元を庇う。
(……あ、しまった。先にこれを濡らしておけば良かったか)
炎が天井まで昇り、白い煙が室内に充満してきた頃。
ちょっとだけ自分の迂闊さを後悔したが……ドカンと派手に開いた扉で、それは解消された。
「うわ!? なんだこれ……っ」
まとわりつく煙を腕で払いながら露骨に慌てた表情で近寄ってきたのは、パッと見、三十代前半くらいの見知らぬ男性。
着古した白いシャツに、濃茶色のくたびれたズボンと、傷んだ黒い革靴を穿き、どこにでも居そうな普通の村人を装っている。
だが
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