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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第529話】
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ールド・パージ、強制介入失敗』


 その言葉を最後に周囲に静寂が訪れた。


「……はぁっ、ふぅ……」


 既にぼろぼろの俺は膝から座り込む、セシリアは泣きそうな表情で俺に言った。


「ヒルトさん……ごめんなさい。 ……こんなにわたくしは……貴方を……」


 傷口に触れようとするセシリア、だがその途中で手を引っ込め、俺の傍から離れる。


「……大好きな殿方に、わたくしは何てことを……」

「……セシリア」


 背中を向けるセシリア、様子は伺えないが僅かに肩が震えていた。

 俺は、そんなセシリアを後ろから抱き締める。


「ひ、ヒルト……さん。 は、離してくださいまし……」

「……嫌だ」

「わ、わたくしは……貴方を傷付けました。 こ、こんなわたくしが……貴方を好きでいる資格なんて……ありませんもの……」


 声色が明らかに落ち込んでいるセシリア――俺はそのまま強く抱き締め続ける。


「……傷付けてるっていうなら俺だってそうだ。 ……セシリアが俺の事を好きって言ってるのに、俺は返事を曖昧にして先伸ばししてる……」

「………………」

「……本来ならとっくに愛想つかれても仕方ないのに……。 ――セシリア」

「は、はい……」


 強張ったセシリアの身体から力が抜け、僅かに身を預ける様に――そして、俺は口を開く。


「……正直、偽者の一夏に対して……嫉妬した」

「……ヒルトさん」

「……まだ答えは出せないけど、少なくとも……俺の中にはセシリアが居る」

「は、はぃ……」

「……好きでいる資格なんてない……そんなこと、言わないでくれ」

「…………はぃ」


 そう返事を返すセシリア、顔だけ振り向くとその蒼い瞳から涙を流していた。

 そのまま力強く抱き締めると、それに応える様に俺の手に自分の手を重ねた。

 バスルームに訪れた静寂――湯気が立ち込める中俺は――。


「……セシリア、一旦出よう」

「そ、そうですわね……」


 決して暑いからという訳ではなかったのだが、バスルーム内に居るよりは他の場所の方がいいと思った。

 手を繋ぎ、そのままバスルームを出て屋敷の通路。


「……しかし、なかなかここから出れないな」

「そ、そうですわね」

「……どうすれば出られるのやら」

「えぇ。 ……で、ですが……こんな時にですがヒルトさん」

「ん?」

「……二人きりで過ごせるこの瞬間、わたくしは大事にしたいです。 ですが今は……貴方を沢山傷付けましたし、傷の手当てをしませんこと?」


 確かに二人きりというのはそうそうあることではない。

 
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