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岩清水健一郎という存在
3部分:第三章
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です。
 そう、人間だからです。ミンチン先生はセーラと会う度に己のその卑しい部分を心に思い出させられます。これは非常に残酷な復讐ではないでしょうか。『ライフ』においても倫子は歩の笑顔に赦されました。しかしその己の醜さを自覚してです。そのうえで歩と会わなければなりません。思えばこれも辛いことです。
 ミンチン先生のしたことも許されることではありません。とにかく様々な負の感情を見せましたし。しかしセーラの復讐はミンチン先生にそうした重い現在を刻み付けるものではないかとも思います。
 僕は『赦し』という言葉を使わせてもらいましたがこれは『泣かないと決めた日』においては主なテーマになっていると思います。
 主人公の角田美樹は入社してすぐに陰湿ないじめに遭います。その中心人物だったのが佐野有希子チーフでした。
 彼女はむしろミンチン先生や廣瀬倫子と同じでやはり人間であり人間として善でもあり悪でもありました。上司からいじめられていて昇進に焦り思うようになっていない、そのことで鬱屈した思いを抱いている人でした。それが結果として美樹や彼女の前にいた山内静香に対するいじめになっていました。そして彼女自身はそのことをあまり自覚していませんでした。このことが問題でした。
 やがて美樹をもっと見るように言われたり桐野マネージャーの言葉から美樹に対して穏やかに見るようになりました。ドラマの前半と後半でこの人は美樹に対する態度が変わっています。それを見ていると決して根っからの悪人でも腐り果てた輩でもないのだとわかります。桐野チーフが彼女が美樹のことを訴えてもです。
『認められないのは自分も同じではないのか』
 こう彼女に告げたのはそうしたことがわかっていたからでしょう。佐野チーフはストレスに苛まれたある意味において被害者だったのです。このドラマでのイタリア食品部門の人は女性陣はおおむねそうでありましたが。
 彼女の場合はそれにより美樹をかなり追い詰めてしまっていました。それに気付かないまでも態度を軟化させてからは認めるようになっています。しかしです。
 ドラマの前半を見ていると山内静香に対するいじめは相当なものだったことが窺えます。おそらく訴えれば確実に有罪になるレベルです。美樹へのそれを見てもわかります。
 美樹もあのままだと確実に退社して精神を病んでいたと思います。彼女の場合は桐野チーフや仲原翔太がいたからこそ踏み止まれました。苦労してきた桐野や人を公平かつ温かく見られる仲原がいたからこそです。だからこそ耐えられた一面があります。
 しかし山内静香は退社することになりました。それを佐野チーフを疎ましく思う梅沢仁部長によって付け込まれ退社させられそうになります。その時にいじめのことを突きつけられます。
 その時これまでの自分のことを反省していた時にそのことを
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