機動戦艦ナデシコ
1354話
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カツキに話の続きを促す。
「その、当時の連合軍はどうしても独立強硬派を許せなかったんだろうね。火星に対して核を撃ち込んだ」
「……また、随分と派手にやったな」
「だろうね。僕もそう思うよ。そこまでする必要があったのか、それとも独立を狙う勢力を絶対に許せなかったのか。ともあれ、連合軍としては独立強硬派の存在を文字通りの意味で消滅させた……つもりだった」
なるほど、話の流れが見えた。
「実は生きていて、火星を脱出。そして木星に向かったって事か?」
「ああ。更に地球にとって厄介な事に、木星には火星古代文明の遺産となるプラントが複数あったらしい。正直、火星古代文明なのに、なんで木星にそんなに大量にプラントを置いて行ったのかは分からないけど、とにかく火星を脱出した独立強硬派はこれ幸いとそのプラントを使って自分達が生き残る為に行動を開始した。それこそ、木連という国を作ってね」
「それだと木連は随分と地球を……具体的には連合軍と連合政府を恨んでいるだろうな」
「だろうね。でも、この戦争が始まる前に木連から使者が来た……らしい」
「らしい?」
アカツキにしては曖昧な表現に、思わず尋ね返す。
まだ何かを誤魔化そうとしているのではないか、と。
だが、アカツキは俺の言葉に小さく首を横に振る。
「残念ながら、そっちの件に僕は直接関わってないんだ。連合政府と連合軍が自分達以外には絶対に情報を漏らさないようにしたからね」
「……その割りには、アカツキは知ってるようだが?」
「人間の全てが情報を絶対に漏らさないって訳じゃないんだよ。金、女、暴力といった風に情報を得る手段は幾らでもある」
ネルガルがどの手段を使ったのかは、問わない。
ネルガル程の大企業になれば、当然後ろめたい事だって色々とあるだろう。
遙かに規模の小さいシャドウミラーですら、色々と表沙汰に出来ないような事はこれまで幾度となく行ってきている。
そう考えれば、アカツキが情報を得た手段を責めるつもりはない。
「ま、いい。情報の出所は問わないとして……それで? 木連からの使者は何と? 当然何らかの要求を持ってきて、その上で決裂したんだろ?」
決裂してなければ、この戦争はそもそも起こっていないのだから、その辺は確実だろう。
「そうだね。こっちも伝聞となるけど、向こうが持ってきた要求は幾つかある。けど、その中で最も大きかったのは、やっぱり100年前に連合軍と連合政府が月でやった事……そして火星に核を撃ち込んだ事を明確にし、それに対して木連に謝罪と賠償をするというものだった」
「飲めないよな」
「そうだね。連合軍にしろ連合政府にしろ、そんな真似をすれば何人の首が切られる事になるのやら。当事者はもう誰も生きてないけど、大スキャンダル……な
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