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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
雨夜-レイニーナイト-part6/雨中の決戦
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どこまでも忠実で、己の欲望の赴くままにあらゆる人間を利用し切り捨て、長年自分が仕えてきた祖国を裏切り蝕んできた愚かな男が…人知れず雨の夜の中にその命を無残に散らしたのだった。

「……」

物言わぬ屍となったリッシュモンを……


ウルトラマンと対を成す闇の戦士……『ダークファウスト』がゴミでも見るような目で見下ろしていた。



事件後…。
ミシェルの遺体は、彼女の故郷とされていた領地に運ばれ、彼女の両親が埋葬されている墓の傍らに埋葬された。
墓石に刻まれたミシェルの名を、サイトとアニエスの二人が見ていた。
「…ミシェル、お前は銃士隊を…トリステインを裏切った裏切り者であることに、変わりない。だが…一歩間違えれば、私もお前と同じになっていただろうな。言うなれば、お前はもう一人の私だった」
ミシェルの墓を見てアニエスはそう呟いた。
もし、ダングルテールの事件の後、すべてを失ったあのころに、リッシュモンのような悪党に拾われていたら、自分もミシェルのようになっていたかもしれない。アニエスはそう思えてならなかった。
「私は誓おう。いつかお前のような者を出すことのない国を、陛下たちと共に作り上げて見せる。そのためにも…」
リッシュモンには、次に会うときは自分と彼女が受けた痛みを全部まとめてくれてやる。
アニエスは胸に手を当て、かつての部下に誓いを立てた。
(だが、その前に…)
それと同時に、暗き情念の炎が、かつてリッシュモンの企みの犠牲となった故郷を焼き尽くしたような炎のように、心の中で燃え上がる。
アニエスは、殺された家族や故郷にいた人々の復讐のために、ダングルテールを滅ぼした犯人を捜し続けていた。だがそれは、リッシュモン一人だけではない。
彼女が復讐の対象として、最後に求めていたのは…あの事件で自分の故郷を直接焼き払った『実行犯』だ。
(残った仇は、実行犯だけだ。そいつを殺さねば…)
国の未来を見ることはできても、自分の未来を進むことはできない。そう確信していた。
「……」
サイトもまた、ミシェルの墓参りに訪れていた。
(どうして…自分の星で生きることもできない人が居るんだろう…俺なんて、異世界人なのに…)
自分にもっと力があれば、彼女を救うことができたのではないか?そんな自惚れじみた考えを、ウェールズや王党派の人たちを救えなかったときと同じように抱いてしまう。
でも、もう折れるわけにいかない。ミシェルも最後の最期で背中を押してくれたのだ。今のお前のままでいろ、と。
(ミシェルさん、見ててくれ…)
あなたを救えなかった自分の無力さを忘れず、そして彼女のような悲劇のヒロインを二度と生み出さないためにも…サイトは改めて決意を胸に、アニエスと共にミシェルの墓を後にした。

救うことができなかった。なら
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