雨夜-レイニーナイト-part6/雨中の決戦
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撃必殺の蹴りをお見舞いする。
〈ウルトラゼロキック!〉
「ダァッ!!」
「ガァッ…!!」
ゼロの心の震えが、ゾアムルチを圧倒した。
ゾアムルチが最後のあがきに、ゼロに向けて自慢の破壊光線を放った。だが、それに対してゼロは頭につけていたゼロスラッガーを手に取り、左手のガンダールヴのルーンを青く強く輝かせながら、ゾアムルチの光線に向けて投擲する。高速回転しながら向かっていくゼロスラッガーは、ゾアムルチの光線とぶつかる。互いに鍔迫り合いのように押し合うが、二本のスラッガーはついにゾアムルチの光線を二つに切り裂きながらゾアムルチに近づく、奴の体をバツ印に切り裂いた。
「グガアアアア!!」
旋回しながらゼロスラッガーが彼の頭に戻ってくる。
これで…最後だ!
〈ワイドゼロショット!〉
「ジュア!!」
ゼロの、ミシェルの過去の因縁に決着をつける必殺光線がゾアムルチの体を貫いた。
光線をもろに受けたゾアムルチは倒れると同時に、木端微塵に砕け散った。
ここまでくれば、もう安全だ。ゼロが怪獣と戦っている間、リッシュモンは雨に打たれ続けながら、一人トリスタニアからの脱出を図っていた。
「しかしおのれ…アンリエッタ共め」
たかが女王を名乗っているだけと思っていた小娘に恥をかかされ、平民の成り上がり風情共に一杯食わされ、挙句の果てに自分が配下に加えた小娘にも…。
「ミシェルも駒の分際で、最後の最期でわしに抵抗しおって…あの小娘は適当に慰み者として売り飛ばすつもりだったが…」
自分の手で実家を取り潰されたミシェルを自分の配下に引き入れた理由には、都合のいい駒を手に入れる他にも明らかに下劣な目的が含まれていた。
だが、その失敗も一時の屈辱しかもたらすだけのものでしかない。
今はゾアムルチが適当に町で暴れている頃だろう。今のうちにこの町を脱出し、アルビオンに亡命すれば、少なくともこの日をやり過ごすことができる。たとえあの怪獣が倒されたとしても、どのみちこの喜劇は自分の勝利だ。大団円なのだ。
そう思っていたその矢先だった。
ドン!!
「は…!?」
リッシュモンは、今何が起きたのか理解できなかった。ただわかったのは…
自分の胸に、自分がミシェルにくれてやった時のような風穴があいていたのだ。一瞬でそこからおびただしい血が流れ落ちる。
まさか、あの銃士隊隊長が自分を!?たかが平民の成り上がり風情に!?
しかし、彼を打ったのは…アニエスではなかった。
リッシュモンは顔を上げると、今自分を撃った存在の姿を確認し、絶句する。
「き、貴様…」
リッシュモンの視界がだんだんとぼやけ始める。
やがて意識も朦朧とし、そのままリッシュモンは街の道に溜まっていた水たまりの中に身を投げ…そのまま二度と目覚めることはなかった。
己の欲望に
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