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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
雨夜-レイニーナイト-part6/雨中の決戦
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ある。
まるで、大事な誰かと引き裂かれてしまったような、張り裂けるような痛みが彼女の胸に伝わった。


「ぜ、ゼロ……」
顔を上げたグレンは、ゼロの姿を確認する。
「助かったぜ…でも、ここは俺の喧嘩だ。俺がカタを付け…ぐぅッ」
立ち上がって自分がもう一度戦うというが、すでに満身創痍の彼に戦闘を続行するだけの力は残っていなかった。それを一目でわかったゼロは背を向けたままグレンに言う。
「…ここは俺がやる。お前は変身を解いて下がってろ。今のお前はまともに戦えないだろ」
「んなことは…!」
意地を張ってそこまで言いかけたところで、グレンはゼロの背中から伝わる何かを感じた。
まるで、自分とゼロの間に見えない壁でもあるかのような感覚だ。何もないはずなのに近づくことができない。
ここは自分の手で決着をつけたい。ひしひしと伝わるその思いと、背を向けたまま自分を見ているゼロの目を見て、グレンは何かを察し何も言わなかった。
ゼロはゾアムルチの方を振り返る。
「ア゛アアアアアア!!!」
ゾアムルチの鳴き声は、まるで泣いているようにも聞こえた。まるでミシェルの、トリステインの…リッシュモンから受けた非道な仕打ちに対する悲しみと怒りが乗り移ったような声だ。
ゼロは、雨に濡れながらその右拳をギリッと握りしめた。
「デアアア!!」
彼の悲しみを込めた一発のパンチが、ゾアムルチに炸裂した。ダウンしたゾアムルチの上に飛び掛かり、馬乗りの状態でゾアムルチを取り抑える。だが、ゾアムルチはゾロを押し返すと、今度は自らがゼロにのしかかろうとする。そうはさせまいと、ゼロはゾアムルチを蹴って立ち上がる。
互いを押し合おうと取っ組み合いが始まると、ゾアムルチは右手のヒレでゼロの顔をなぐりつけ、両手で彼の首を絞める。猛烈な力があった。
その時、雨の中だというのに激しく燃え上がる一発の巨大な火炎弾が、ムルチの顔に直撃した。
「!」
ゼロは火炎弾が飛んできた方角に視線を向ける。
そこには片膝を支えに立っていたグレンが、両手を突き出した構えを取っていた。今の火炎弾は、紛れもなく彼の攻撃によるものだった。
「これくらい…返しておかねぇと、かっこ悪いからな…」
そういって、グレンはその身を縮ませていき、元の人間の少年の姿に戻って行った。
(無茶しやがって…)
そう思いながらも、ゼロはグレンの支援に感謝した。また一つ借りができてしまい、余計に負けられなくなってきた。
さらに、今のゼロはその力にも勝る心が…もうミシェルの身に起きたような悲しみを起こしたくないという強い思いが力となって、緩んでいたゾアムルチの拘束を解く。
今度は自らがゾアムルチを捕まえる番だ。ゼロはゾアムルチの両手のヒレを捕まえると、がら空きになった腹に向けて膝蹴りを叩き込で押し出し、さらにもう一
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