雨夜-レイニーナイト-part6/雨中の決戦
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本当かどうかも知る由もない。
「でも、願うなら…もう一度…この世界で……時間を…巻き戻したいものだ…」
最期にミシェルはサイトの方を見た。
もう少し時間があれば、この少年からたくさんのことを…大切なことを知ることができたかもしれない。こいつから多くのことを学ぶことができたかもしれない。でも…もうそんな時が来ないことを痛感した。
「サイト……お前のような…男と…は……早く…知り合い…たかった………」
それが、ミシェルの最期の言葉だった。
サイトにゼロアイを握らせる形で返したと同時に、彼女の手はずるっと地に落ちた。
………ッ!!!
自分を救った恩人に騙され生きてきた一人の女性は、その根本にある、自分なり国を思う気持ちを胸に戦い続けてきた。今その生涯という悲劇に、静かに幕が下ろされた。
サイトは、完全にぬくもりを失ったミシェルの手の冷たさで、認めたくないその現実を思い知らされ、俯いた。
「………」
「…サイト、何をしているんだ。街が大変なことになっているんだぞ」
ミシェルに黙祷し、立ち上がったアニエスは現実に引き戻すようにサイトに言った。
アニエスの言う通り、まだ町ではリッシュモンが残したゾアムルチが残っていた。現在もリッシュモンの意思に従い、街を破壊していた。
「ガアアアアア!!」
吠えながら街に乱射魔のごとく破壊光線を放ちながら、トリスタニアの町を地獄に変えていく。
「ぐ、ンの野郎おおおおおお!!!」
いつまでもぶっ倒れて、ウェールズが愛したアンリエッタの住むこの町を破壊されつくされては、彼に顔向けできない。グレンは闘志を再燃させてゾアムルチに向かい、背中から奴に飛び掛かって捕まえる。グレンに捕まったゾアムルチは彼を振りほどこうと暴れだす。
暴れた末に彼を振りほどいたゾアムルチはグレンに向けて自慢の破壊光線をくれてやった。
「グアアアア!!あぐ…!」
四つん這いに地面に手を付き、グレンはその場に再びダウンしてしまう。
「…大丈夫です」
その耳に、グレンが苦戦している戦闘の音を聞き、サイトは立ち上がってアニエスの方を振り返った。
「…俺は、俺の成すべきことをします。ミシェルさんの願いに、みんなの思いに応えるために。だから…アニエスさんは自分がなさなければならないことを優先してください」
「ミス・ヴァリエールたちには何も言わないのか?」
「それは、全部終わらせてからです。行ってください。ミシェルさんのためにも、きっとあいつのせいで苦しめられた人たちのためにも、リッシュモンを捕まえてください」
「…無論だ」
アニエスは、サイトがミシェルの死で悲しむあまり、腑抜けたのではないかと一瞬考えてしまったが、どうやら杞憂だったようだ。サイトの目に戦う意志を見出した彼女は、リッシュモンを追うた
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