雨夜-レイニーナイト-part6/雨中の決戦
[3/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
流れ落ち、彼女自身の血だけでも水たまりが出来上がるほどだった。
「どうして、あんな無茶を…!?」
さっきリッシュモンに考えなしで突撃したことを尋ねる。すると、彼女は握っていた手をサイトに見せる。そこに握られていたものに、サイトは目を見開いた。
「それは…!」
そこに握られていたのは、ウルトラゼロアイだった。
(まさか、さっき掴み掛った時に、リッシュモンからくすねて…!)
そうとしか思えない。ミシェルを通してリッシュモンに奪われていたゼロアイを、今度は彼女自身の手でサイトの元へ奪い返されていたのだ。
「なんだ、その眼鏡は?」
アニエスはそれを見て目を丸くする。眼鏡の意匠はあまり眼鏡としての機能を求めているとは思えなかった。
「…俺の大事な宝物です。でも、どうして…?」
ミシェルはあの男の配下で、恩人でもあった。それに今のトリステインを強く憎んでおり、それに味方するウルトラマンに対してもよい感情を持っていなかったのも事実だ。
「…サイト…」
ミシェルはかすれた声でサイトを見る。だが、その目は虚ろだ。すでに意識が薄れ始めているのだ。
「すまない…私は…情けない女だ…恩人と信じていた人こそが、仇だとも…知らず…に…ごほっ!!」
「ミシェルさん、もう喋ったらだめだ!すぐに治療しないと!!」
サイトに向けて言葉を綴ろうとした彼女だが、言おうとするたびに血が吐き出される。あまりの姿にサイトはすぐに口を閉ざすようにミシェルに言う。
『サイト…もうだめだ。彼女はどのみち…』
ゼロの、無念の思いが込められた声が聞こえる。この傷だらけのミシェルを見れば、誰でも一目瞭然でわかるだろう。
もう、ミシェルは…助からないのだ、と。
「隊長…もうしわけ、ありません…私は、みんなを…騙していました…すべて、あの…男が口に…していた、トリステイン…を始祖の名…に恥じな…い神聖な…国にする…という甘言に……」
サイトの忠告を断り、ゴホゴホと血を口から吐き流しながらも、ミシェルはアニエスにも謝り続けた。
「…たとえ、お前の境遇に悲劇性があっても、お前のしたこともまた許されることではない」
「アニエスさん!」
確かにミシェルは元々リッシュモンが放ってきたスパイだった。でも、この人自身が悪だったわけではないし、彼女もまた騙されていたのだ。そんな言い方はないだろ!と言い返したくなった。
「いいん…だ…サイト…私がこうなったのも、…自業…自得だ」
ミシェルはサイトをなだめながら言った。自分がことによってはこうなることを…いつかこうなることを覚悟していたのだ。最も、信頼していたリッシュモンから裏切られるという事態までは想像もしていなかった。
ミシェルは、改めてサイトの方に向き直り、リッシュモンから奪い返したウルトラゼロアイをサイトの手に握らせながら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ