雨夜-レイニーナイト-part6/雨中の決戦
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せめて…安らかに…。
「…アニエスさん、あの糞爺はどうなったんですか?」
ミシェルの墓を去る途中、サイトはアニエスに気になっていたことを尋ねた。それはミシェルを利用した挙句に切り捨てた、あの卑劣な老貴族の行方だった。
出来ればもう二度と思い出したくなかった。その度に、あの悪徳ジャーナリストとどうしてもダブって見えてしまう。
しかし、次にアニエスの口から明かされた事実にサイトは驚かされることとなる。
「リッシュモンは死んだ」
「え!?」
サイトは目を丸くした。あの夜ミシェルを裏切り、自分たちの目の前から逃亡したあの男が、死んだ?
「奴の遺体が、あの日の夜の数時間後の翌朝、水路に落とされていたところだ。胸には風穴が開けられていた状態だったよ」
アニエスが詳細を教える。それは、あの夜のうちに、逃亡したはずのリッシュモンが殺されたということになる。だが、腑に落ちない。なぜ、自分たちの前から逃げ延びることができた奴が、あの夜から間もないうちに殺されたのだ。
まだ、自分たちの戦いは、始まったばかりということなのかもしれない。
「サイト、これから私たちや陛下にはあらゆる危険が降りかかるだろう。ミシェルもお前に期待を寄せたんだ。驕ることなく、そしてしくじることがないようにな」
「はい」
アニエスは、繋いでいた馬にまたがり、一足先にトリスタニアへと戻って行った。
アニエスと別れたサイトは歩き出す。
その先で、シルフィードと、その傍らにいるルイズ、ハルナ、タバサの三人の姿があった。
墓参りのためにと、タバサが意外と協力的にシルフィードで送ってくれたのだ。そして、ルイズとハルナも、あの夜のショックでサイトが沈んでいるのではと思って着いてきた。
今回の件は、ルイズたちには内緒だが、最初はミシェルに盗まれたウルトラゼロアイの奪還だった。だがいつしか、アンリエッタが目をつけていた裏切り者を捕まえる任務に発展していた。
サイトが自分たちの前に来たと同時に、ルイズが口を開く。
「あれからウェザリーにもあの夜の舞台が台無しにされたことを憤慨されたし、散々だったわ。おまけにあんたは、ミシェルやあの高等法院長を追ってどこかに行っちゃうし」
ルイズは恨み節をサイトにぶつける。
「ごめん…」
「でも、ま…」
ルイズは一時言葉を切り、そして少しの間をおいてから再びサイトに言った。
「ミシェルのことは、正直私たちを騙してリッシュモンに力添えしていたのは許せないけど、残念だったわね。」
「もしかして、ミシェルさんのことも訊いたのか?」
「ええ。だからあいつを単に真っ向から非難することはしないわ」
「ルイズ…ありがとう」
サイトは、それを聞いて少し安心した。ルイズのことだから、ミシェルのことを決して許さないと思っていたが、彼女が少し寛容
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