雨夜-レイニーナイト-part6/雨中の決戦
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シュモンは3メイルほど先の位置まで後ずさった。
「はぁ…はぁ…ここまでだな、リッシュモン」
「おい糞爺、…てめえ、一番怒らせちゃならねえ奴を怒らせちまったぞ?」
アニエスが、銃口を向けたままリッシュモンを睨み付けた。デルフも怒りの気持ちを口に出していた。今、ルイズ達さえも怯えさせるほどの形相を浮かべている、サイトの心を代わりに代弁しながら。
(こんな奴のためにミシェルさんは…ずっと頑張ってきたっていうのか!!こんな、人間を人間とも思わない糞野郎に!!)
自分が重用した部下を、用済みとなった使い捨ての道具のように見下しているその態度。
サイトは、激しい激情に駆られていた。わかってはいた。こんな下種がこの国に潜んでいたことは。だが…実際に目の当たりにすると、それでも我慢してこの国や世界のために戦うことが正しいことと信じていた自分に対して、絶望と憤りさえも湧き上がりそうになってしまう。
「こ、このままでは…終わらんぞ…よくもこのわしに…!!」
しかし傷ついた胸の傷を押さえながらリッシュモンはアニエスたちを睨み付ける。
「もう容赦はせん!ムルチとやら、やってしまえ!!こいつらを殺してしまえ!この町を破壊してしまえい!!」
ゾアムルチに向けて叫ぶリッシュモン。すると、ゾアムルチはその命令を聞き入れ、ダウンしたグレンを放り出してサイトとアニエスの方に歩き出し、口から破壊光線を飛ばしてきた。その光線は直撃しなかったが、サイトとアニエスの周囲の建物を吹き飛ばした。
「そのまま薄っぺらい正義と共に死んでしまえ!!」
最後のそう吐き捨てると、リッシュモンはサイトたちの前から雨に隠れて姿を消していた。
「ま、待て!リッシュモン!」
リッシュモンを覆うとしたが、ちょうどその時に二人の周囲に瓦礫が飛び散り、二人は身を伏せてその衝撃を耐えぬく。
目の前の憎き仇をみすみす見逃してしまった。悔しさと自分のふがいなさに怒りを募らせるアニエス。
その時だった。
「サイ、ト…隊、長…」
すると、サイトたちの名前を呼ぶ声がかすかに聞こえてきた。その声をたどるサイト。
「ミシェルさん!?」
リッシュモンの抵抗で、胸に風穴をあけられてしまったミシェルが、目を覚ましたのだ。
「ミシェル、お前…」
アニエスが片膝を付いてミシェルの顔を覗き込もうとしたとき、街で爆発が起こり、地面を通してサイトたちの体にも衝撃を与える。
「アニエスさん、ここはいったん離れた方が!」
悔しいがサイトの言うとおり。サイトとアニエスはミシェルを抱えていったんこの場を離れた。
路地裏についたところで、二人はミシェルを建物の壁の傍に座らせる。
「ミシェルさん…」
サイトはミシェルの姿を見る。その姿はあまりに痛々しくて…目を当てるのもやっとだった。体のあちこちからは血がおびただしく
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