雨夜-レイニーナイト-part5/裏切りの代償
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ってて、父の無実をたった一人信じてくださった!
だから私は、この腐ったトリステインを破壊し再建することで、始祖ブリミルの名に恥じない本来の栄誉ある国に変えるために、リッシュモン様のお力になると決意したのだ!
この方の、トリステインを正しい国にするという理想を叶えるために!
この国をあるべき姿にするためならば、私は悪魔にでも魂を売ることも、仲間を裏切ることもいとわない!」
その声には、幼い頃から溜め込んできた理不尽な現実に対する怒りと悲しみ、憎しみが込められていた。彼女の口だけでは想像もしえない壮絶で過酷な人生だったのだろう。
ミシェルは、自分たちの後ろに立っているサイトの方を振り返った。
「サイト…お前は言ったな。自分を守ってくれた人たちに恥じない人間でありたいと。
だったら、私の気持ちだってわかるはずだ!今の私がこうして立っていられるのも、リッシュモン様がいたからこそだ!
私を救ってくれた恩人よりも、こんな腐った貴族共が上を占める国を助けるというのか!?」
「……」
ミシェルの悲しみに満ちた叫びが、サイトの心を揺さぶった。
腐った貴族…思い起こせば何人か思い当たる。愛人としてシエスタを狙ったモット伯爵。重税をかけて代金を1ドニエも払わず街を牛耳ったチュレンヌ徴税官。若き日からの婚約者だったルイズや祖国を裏切って、ウェールズとアンリエッタを一度は引き裂いた卑劣な裏切り者、ワルド。思い出してみれば、ギーシュも貴族の身分に胡坐をかいて同級生二人に二股をかけたりと好き放題。ルイズも自分を召喚した当初は、自分の貴族としてのプライドと魔法が使えないコンプレックスに囚われすぎて傍若無人な振る舞いをサイトにぶつけてきた。
貴族は…ろくでなしばかりだった。
ルイズやギーシュたちは変わった。だが、この世界が本当に平和を勝ち取らなければならないというなら、間違いを犯した貴族たちをどれほど助けなければらないだろうか。いや、考えたところできりがない。一人の人間を改心させたところで、また別の人間が悪事を働く。悪人の悪事に巻き込まれた被害者もまた悪に落ちてしまうこともあり得なくない。
そして一度悪に落ちた人間とは、たとえ正義の味方に命を救われても改心する可能性が著しく低い。またどこかで、悪事を働くことがほぼ当たり前といえる。地球にいた頃、ニュース番組で過去に罪を犯した容疑者が別の事件を起こして逮捕されたという話をなども耳にした。それどころか、ウルトラマンの正体を世間に暴露することで自分が助かろうとした、恩知らずで卑劣なジャーナリストもいた。
延々と続く負のスパイラル。
俺がいくら頑張っても…無駄なのか?
誰かを助けたところで、ミシェルさんのような苦しみを抱え込まされる人間が増えていく。命を救っても、罪なき人たちが悪人に苦しめられる時間ときっかけ
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