雨夜-レイニーナイト-part5/裏切りの代償
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モラを捕まえるという今回の自分の失敗分の取り返しもできなくなったことを悟った。ヤナカーギーがこっちに来る前にはタイムラグがどうしても出る。その間にこいつの手にかかる可能性が高い。
せっかくなかなか生きのいい怪獣を見つけたと思ったのだが…仕方ない。
「こんなところでお前のような脳みそが筋肉でできてるような乱暴者にやられるわけにいかん。さらばだ!」
チャリジャは杖を頭上に掲げると同時に、煙のようにその身を消してしまった。
「あぁ!?誰が脳筋だゴラ…ってくそ、逃げやがった…」
犯人をまんまと取り逃がしてしまったグレンは地面に蹴りを入れる。奴はレコンキスタ側にいた怪獣商人。ウェールズの国の滅亡の一員でもあるのだ。友のためにも奴をしとめるかふん捕まえるかしておきたかったのだが、逃げられてしまったのではそれもかなわない。
だが、さらなる危機がグレンたちに襲いくる。
さらにもう一体、雨の中に…怪獣と思われる巨大な影の姿を見た。
「な…もう一体!?」
グレンは振り返ったとたんに見つけた、その魚類に似た怪獣の姿を見上げる。まるで悲鳴とも取れるような悲痛な叫び声だ。
こうしちゃいられない。このままではアンリエッタたちにも被害が出るかもしれない。だが…。グレンは一瞬躊躇った。
自分は…いうなれば存在そのものが炎だ。雨に濡れるということは…。
いや、何を怖気づいている!こんな雨、体に触れた途端に蒸発させてやるまでだ。
グレンは雨への恐怖を拭い去り、フードを脱ぎ捨てた。そして、変身の掛け声を叫ぶのだった。
「ファイヤああああああああああ!!!」
リッシュモンはいつの間にか先回りしていたアニエスを見て、妙にほっとした。相手が元々魔法が使えない平民の出の人間だからである。リッシュモンもかつてのギーシュやルイズのように、平民は貴族に勝てないと認識していた。とはいえ、アニエスはこの時点で何人ものメイジを相手にし、勝利を飾ってきた凄腕の剣士でもあった。所詮メイジを倒してきたというアニエスの功績もただの根拠のない噂だと断じ、完全にリッシュモンはアニエスを平民の成り上がり風情と見下していたのだ。
「元々あの劇場は貴様の管轄。こんな逃げ道も今のような非常事態に備えて設置していたというわけか」
剣を引き抜くアニエスを見て、ミシェルは口を開いた。
「隊長…そこをどいてください」
「…離反してなお私を隊長と呼ぶか」
アニエスは表情こそそのままだが、目の前の元部下が自分を今でも隊長と呼ぶことに意外性を感じた。
「ふん、所詮は平民だな。自分の部隊にスパイが潜り込んでいたことも見ぬけんとは」
「金と権力に目がくらみすぎた貴様が言うか」
鼻で自分を笑ってくるリッシュモンに対し、アニエスは汚物でも見るような目でリッシュモンを睨み返した。
するとそこへもう一
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