五十二話:旧友
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
あの日、恐らくは自分の人生最後の日になるはずだった日に。ゼストは自らの部下を率いて戦闘機人を製造していると思われるアジトに赴いていた。その時にチンクらと戦闘になり部下を庇って傷を負ったことで結局誰一人守れずに一度目の人生を終えた。自分は親友に殺されたのかもしれないと僅かながらの疑問を抱きながら。
「レジアス、あの事件でお前はどう絡んでいたんだ」
「儂を恨むか……ゼスト?」
だが、幸か不幸か彼は今ここにこうして生きている。疑問を晴らすチャンスがまだ残されていたのだ。レジアスとスカリエッティが繋がっていたことはもはや確かめるまでもない事実。後は、彼がどんな想いをもってそうしたのか、それを知るだけだ。
「例えお前が俺達を殺すつもりだったのだとしても恨むつもりはない。ただ俺は……あの日描いた理想を確かめて死にたいだけだ」
「お前は昔から少しも変わらんな。どこまでも武骨で真っすぐだ」
「ただの時代遅れというやつだ。いつまでも昔を引きずって前に進もうとしない。いや、もとより今の俺は死者も同然。変わりようがない」
人間というものは進化か退化かは分からないが元来変わりゆく生き物だ。変わらない人間などいない。もし、変わらない者が居たのだとすればそれは変わる前に死んだだけ。レジアスは変わり、ゼストは変わる前に死んだ、それだけの話なのだ。
「……ああ、話そう。全て話すためにここに残っておったのだからな。お前達、悪いが二人だけにしてくれ」
「……分かりました」
レジアスに促されて思うところはあるもののゼストは信頼のおける人物だと知っているので部屋から出て行くオーリス。しかし、もう一人のピンク色の髪をした秘書は出て行こうとしない。
「どうした、お前もだ」
「……しかし、一人では危険です。せめて護衛を」
「構わん、儂はゼストと話がしたいだけだ。いいからお前も出ていけ」
「分かりました……では」
一切譲る気のないレジアスの様子に諦めたのか女性もまたオーリスに続き扉に向かって歩き出す。その様子を見ながらゼストは静かに口を開く。
「変わらんと言ったが、一度死んだせいか俺も少しだけ変わったことがあってな」
「なんだ?」
「少々、身内を―――疑うようになった」
女性のかぎ爪のような武器を自身の薙刀で受け止めながらゼストは鋭い視線を投げかける。女性の方は驚くレジアスを尻目に舌打ちをしその真の姿を現す。長い茶色の髪に異性を誘惑するような美貌。そしてスカリエッティの戦闘機人であることを証明する特殊なスーツ。長い間管理局に潜入していた二番目、ドゥーエだ。
「なんだ貴様は!?」
「自由に姿を変える戦闘機人だ。普通の検査ではまず引っかからん」
「あら? あなたに情報を与えたことはないのだけど」
レ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ