第56話 驚愕
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
土方達が命からがら江戸に到着してみると、江戸城がすでに新政府軍に落ちている事実に愕然とした。
京では恐れられていた新選組の立場が全くの逆で新政府軍に追い回され、隠れ住まなければならい状況に成り果ててしまっていた。
(これはどういうことなのか?)
と怒りに震え、勝邸に土方は押しかけてみたが、勝は留守で停泊することになってしまっていた。こうしている間にも仲間の心配をしなければならず、ヤキモキとした気分でいた。
「すまねぇ、土方君」
勝との面会がようやくなったと思いきや勝は土方をみるなら土方の前で深々と土下座をしたまま何も語らなくなった。
「勝先生、頭をあげてください。私はどうしてこのような状況になったのかを説明してほしいだけです」
土方はこみあげてくる怒りを抑えつけて、土下座している勝をみつめ、問いかけた。
「責任はすべてこの勝にある。煮るなり焼くなりどうにでもしてくんねぇか。だが、これだけはわかってくれ、土方君。もう、戦争は終わらせなくちゃならないんだ」
勝は面を上げて土方の目をまっ正面からみつめた。
勝の目は何日も寝ていないせいなのか心労の為か目がくぼみ隈が出来ていた。
「勝先生、私は貴方を信じていました。ですが、最早これまでです。もう、二度と会うことはないでしょう」
土方は、勝にぺこりと一つお辞儀をすると部屋から出て行こうとした。
「土方君、近藤君が捕まったよ」
去り際に勝はぽつりとつぶやいた。
「今、なんと申された?」
土方は顔を引きつらせ、勝を見つめた。
「近藤君は新政府軍に捕まったんだよ。自ら投降したらしい」
勝は目を伏せて言った。
「ば、ばかな!!そんな馬鹿なことがあるもんか!!近藤さんとは、途中で別れたが必ず江戸でと約束したんだ!!近藤さん自ら投降なんかあり得ない」
土方は興奮のあまり勝の着物の衿首をつかんで正座していた勝を無理やり立たせるように持ち上げた。
「残念だが、土方君。事実なんだよ。投降してた来たときは近藤君は晴れやかな顔をしていたらしい」
勝は首元を締め付けられているせいか息を詰まらせながら土方に言った。
「そ、そんな、近藤さんが、そんな馬鹿な」
土方は驚愕のあまり力を失い、勝の襟元をゆっくり話していった。
「土方君、おいらは近藤君程の男を死なせたくなかった。そのため、いろいろ手を尽くしてみた。だが、新政府軍は首を縦に振ることはなかったよ」
勝はがくりと膝をつきうなだれている土方を見つめた。
「それと、近藤君にも会ってきたよ」
勝は言葉を続けた。
「近藤君は言ってたよ。最早、自分の行く末を知っていたかのように晴れ晴れとした顔でこの近藤、逃げも隠れも致しません。最後の祭りをお見せしようと」
土方は勝の言葉が耳に入らなかった。今まで色々な者達と出会
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ