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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
番外編1 彼女の笑顔
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ネージュより
「キカちゃんは、どんな反応をしてくれるのかな」
怒るかな。それとも、照れてしまうのかな。
うん、でも、どんな反応でも良いや。……この手紙を読んだ上で僕と会ってくれるなら、何でも良い。
ネージュはペンを机の上に置き、息を吐きながら肩を回した。すでに日付は変わっている。宿の外は、確かな闇に包まれていることだろう。
「……う……ん」
すると、ベッドの方から気持ちよさそうな少女の声が寝息とともに漏れてきて、思わず苦笑してしまう。よく眠っているみたいだ。モゾモゾと動く布の塊に、こちらまで和みそうになる。
よし、決めた。今度キカに彼女を紹介しよう。前は食事を断られてしまったけれど、今度は受けてくれそうな気がする。
いつにしようかな。
今日のことが終わったら、誘ってみようか。予定聞いてさ。無事に2層に行けるようになったなら、そっちで良いお店を探すのも……。
「はは……」
というか、告白が上手くいかなかったらどうするんだ。会ってくれなくなるかもしれないのに、変な余裕がある。
これはあれかな。テスト前の根拠の無い自信みたいなものか。……いや、ちょっと違うか。
完全に脱線したどうでも良い自問自答を脳内で回す。再び苦笑いを浮かべながら、先ほどまでペンを走らせていた便箋を二つ折りにする。白い封筒に入れ、封をした。明日は多分主街区に出てきているだろうから、その時に渡そう。
しっかりとストレージに入ったのを確認し、ホッと胸を撫で下ろした。無事に書けて良かった。机の上に目をやれば同じような紙が何枚も積み重なっているけれど、すべて文面が若干違う。けれど自分の名前まで書きいれたのは、さっきの一枚だけだ。これらは全て、納得いかなくて途中で書くのをやめたもの。間違えて渡してしまう前に捨ててしまおう。
容赦なく削除作業を進めながら、ふと視線を滑らせる。そこには、淡い光を反射して輝く銀色の物体があった。
――――雪の結晶のチャームが付いたネックレスと、一対の指輪。
ネージュはその内から指輪を一つ手に取り、自身の指にはめた。決意の意味を、込めて。
彼女がネージュの気持ちを受け取ってくれなくても良い。キカの隣で、支えになりたいのだ。
だけど、もし、もしもこれからの未来で、彼女がネージュに応えてくれるなら。
「……この指輪を、いつかキカちゃんに渡せるといいな」
そんなことを思いながら、もう一つの指輪をスタンドライトにかざして、ネージュは笑った。
その時は、この指輪に刻む文字をキカちゃんに決めてもらおう。
君は、どんな言葉にするのかな。
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