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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第10話 黒染めの化け物(後編)
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こす馬鹿の極みな行動で、私が一番恐れているのは、この人たちにも火の粉が飛んでしまうことだ。彼らには全く非は無いことなのに、巻き込んでしまうのは忍びない。
「さようなら」
 私は、手を伸ばしてくるエギルをさっと避け、ポニーテールを揺らしながら背を向けた。後ろで何か言う声がしているような気がするが、意識は向けない。すべて関係の無いものとし、認知しない。
 矢を数本つがえた。今度は、スキルは発動させない。そのかわり、筋力値にものを言わせて弦を引いていく。
 狙うは、たったひとつ。
 誰かが、「あっ」と驚いたような、悲鳴のような、なんとも判断の付きにくい声を上げた。
 ヒュッ。
 軽い、そんな風を切る音を纏いながら、自らのウィンドウを開いて難しそうに話しこむ男たちの足元へ向かう。そして、狙いと寸分違わず、ずかずかと突き刺さった。
 その音によって、約40人の思考を強制終了させる。
「……え?」
 皆、信じられない、とでも言いたげな顔をしてたり、状況の理解が追いついていないのかきょとんとしている。それは間抜けと言っていいもので、笑いが込み上げそうになった。
 さっきまで、たった一人の少年を糾弾していたというのに。思うまま、毒を吐き捨てていたというのに。そんな顔していたって今の私には何も響かない。
 ――――さあ、ここからが本番だ。
 どんなふうに“演じる”?
 いっそのこと、とことん悪役を突き詰めてみようか。……しかし、それで狂人として通り過ぎては意味がない。強い負の感情とともに、私を彼らの記憶に焼き付けなければならないのだ。
 ならば、冷酷に。
 ありのままの事実を、突き付けてやろう。そして、あの黒い少年よりも残忍で、冷淡に、残酷に。恐怖すら覚えるように。
 ≪ビーター≫の存在すらもかすれて、霧がかかって、塗りつぶされてしまうように。
 私こそが“悪”だと、植え付ける。≪ビーター≫以上の存在になるのだ。
 矢の標的に選んだ男たち――――、ディアベルのパーティーメンバーだった者たちへ近づく。軽く睨みを利かせただけなのに、彼らはたじろぎ、全体的に後ろへ下がった。
 しかし、黒い少年を強く糾弾していた内の一人だった男が一歩前へ出てきて、こちらを睨み据えてくる。怯んでなんかいないと言わんばかりに、その男が負けじと目に角を立てて、唸るように低い声音を発した。まあそれも、若干迫力は欠けていて、私にはあまり効き目はなかったが。
「……な、なんだ、お前」
「私が、ボス戦中にあなたたちへ矢を放った張本人よ」
 ピクリと、男の眉が上がった。
「……≪弓術≫を習得したことを、自慢したいのか」
「そんなわけがないでしょう。わざわざそんな面倒くさいことはしないわ」
 さらに、ピクピクと上がっていく。もう少しで青筋が立ちそうだ。けれども、私は
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