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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第10話 黒染めの化け物(後編)
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しい服も、続いて操作し装備した。
一瞬の光が包んだ後、すぐに着替えが完了した。この辺りはどうしても現実味が欠けてしまうが、これはこれで便利なので良いだろう。
部屋に備え付けられている、大きめの鏡を見遣る。自分の胸の高さほどまであり、上手く距離を取れば頭の天辺まで写すことが出来た。
ブカブカで、カーキ色のフード付きパーカー。そして、丈が余りまくり、同じくブカブカとしている黒いズボン。どちらも男物だ。
ネージュが身に付けていた服装を彷彿させるそれらに、己が選んだものながら苦笑いを浮かべる。けれど仕方ないだろう。一言で男装と言ったって、どういう格好をすれば良いのか分からなかった。そんな中で彼を思い出せる色を見てしまったから、思わず選び取ってしまったのだ。
いやしかし、全体的にボッタリとしている。とりあえず動けるし、ダボダボとしている方が体形を違和感なく隠せるだろうから、問題は無いだろうけれど。
先ほどのアスナとの会話で「キカはもう少し服に気を使ってみたら?」なんて言われていたから、何となく彼女に申し訳なくなる。彼女の助言とは正反対の方向へ突き進んでしまった。今の私の姿を見れば、アスナはどんな顔をするだろう。心の中で詫びた。
まさに馬の尻尾と言えるポニーテールを、服の内側へ入れ込む。こうしなければ、実際は髪が腰の下まで伸びているので、少々つらい。髪をショートヘアにしてしまうという手もあるのだが、この髪型は本当に、何となく落ち着いてしまうし、長い髪の毛の方が私にとっては便利なので、このままにすることにした。それに、フードは割とピッタリとしているので、被ってしまうと少し長めの前髪くらいしかのぞかない。これだけなら、十分短髪に見えるだろう。
「――――終了だ」
さらに、この世界では、女性にしては低い声になった。……まあ、それでも、混声四部合唱のアルトに分類されるものだろうが、この容姿で行けば変声期前の少年の声に聞こえるだろう。
さて、どんな人物にするか。
野蛮? 温和? ……それとも寡黙?
あまりに突飛すぎると、どこかにほつれが出てくるだろうから、そこは考えなければならない。あくまで、“私”の性質と寄り添うように。……あの日と同じことをすればいいだけのことだ。
だが、今はとりあえず、この件については保留にしておいていいだろう。
ここは、孤独な舞台だ。
客なんてもちろんいないし、私の他には出演者もいない。完全な一人。
内臓まで凍りつきそうなほど冷たくて、皮膚が捲れるほど熱くて、……だからこそ優しい、そんな空間。
独りぼっちの世界はいつだってそんな風で、流れて、温かくて、寒くて、熱くて、痛くて、冷たい。だから何物にも干渉されない。
なぜなら、“私”の存在はないし、私自身でさえそれから目を隠
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