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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第8話 六花が贈るメッセージ(後編)
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。時間を与えてくれなかった。
もし仮に、この先答えを見つけられたとしても、返す相手が居ない。聞いてくれるあなたは、もう死んでしまった。
だから、これだけしか言えない。こうとしか、表現出来ない。
――――あなたは大切な親友だった、と。
いつだって気づくのは手遅れになってからだ。流れるような日々に流されてきたからか、隠れて、視えなくなっていた。自分にはない素直な笑顔に目が眩んで、しかしそれに寄りかかってきたから。
「……私は“闇”。どれだけ白を混ぜたとしても、雪のような純白になることは出来ない。……だから、“光”に寄り添って、少しでも白くしようとしてしまうの」
ねえ、ネージュ。私に“笑って”と言ったあなたには、本当の私が視えていたのだろうか。
闇の中でくすぶりながら、それでもひたすらに待ち続ける私が。
ビュオオオと、私をせかすように風が唸り声を上げた。私は、すっと笑みを作る。
「……さて、あなたの頼みごとも守らなければいけないわね。まったく、大変なことを残してくれたわ」
何しろ、顔も、名前さえわからない相手を、この世界で探さなければいけないのだから。
きっと、今までのどんな事よりも難しいのだろう。それでも私は見つけ出して見せる。それが、彼が最後に残した願いであり、どんな事実よりも優先される意志。
「だから、安心してくださいね」
足を後ろに引く。そして、そのままさらに一歩、二歩。
しかし、そのまま移動していて、なかなか剣から目を離せない。
けれど、背中を向けなければならない。きつく目をつぶる。息を深く吸い、すべてを出し切るように吐き出した。迷いも、後悔も、何もかも。
目を開けた。当然のことながら、数秒前と景色は変わらない。
「いつか、また来るわ。あなたが守りたかったもう一人の人と、一緒に」
すとんと出た言葉と共に背を向けた。そうして、そのまま立ち去ろうとした瞬間、ふとネージュと交わした会話が蘇る。
『日付が変わったら開けてほしい』
そうだ。ネージュが、私へ渡してきた手紙があったはずだ。
チラリと時刻を確認すれば、新しい日を迎えた頃で。そのことから自分がどれくらい長い時間あそこに立っていたかが察せられたけれど、頭を軽く降って払拭する。
このメッセージは、ここに書かれた内容は、彼の生前の思いなのだ。
私は震える指先でウィンドウをタップして、ネージュからの手紙を取り出す。全力疾走した時のように、息が上がった。
視界が時間帯のせいではないもので闇に染まりそうになるのを、なんとか堪えつつ、そっと、封を切る。
封筒の中から出てきた手紙は、ネージュの性格をそのまま表すかのように、とても繊細で柔らかい文字で書かれていた。
『キカちゃんがこの手紙を読んで、もし嫌じゃなかったら……、
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