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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第7話 六花が贈るメッセージ(中編)
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「そう、既婚者でしたか。それは恋人ではありませんね。……のろけ話は、またの機会に聞かせていただくわ」
「だ・か・ら! 違う!」
「ふふふ、そうなの? それは残念だわ」
 クスクスと笑ってやれば、年上とは思えないような子どもっぽい表情を浮かべた。そして、バッと勢いよく立ち上がった彼は、その表情を苦いものを食べてしまったような面持ちへ変え、こちらへ詰め寄ってくる。私はそれを半身でさけて、からかうように言った。
「さあ、十分に休憩出来たし、歩きながらこの後のことを考えましょうか?」
「……あ、ああ、うん」
 虚をつかれたのか、急に勢いが抜けた感じに答えが返ってくる。
 私はそんな彼の背中を、少し強めにたたいた。バン! という実に痛々しいような、爽快感があるような音とともに、彼の体がよろける。それを見ながら追い打ちをかけるようにクスクスと聞こえるように笑えば、頭をカジガジと照れ隠しをするように掻いていた。
「ネージュが歩いてきた道には何かあったかしら?」
「僕は歩いた道には何も無かったよ。ただ、何本か分かれ道はあったけどそっちには行ってないから……」
「そう。……けれど、同じ所を歩いても結果は同じである可能性の方が高いし、とりあえず見たことが無い方へ行こうと思うのだけれど。あなたはどう思う?」
「うん。僕もそれで良いよ」
「決まりね」
 私たちは軽く目配せをし、足を踏み出した。しかしその時、「あっ」と隣の青年が思い出したかのような声を上げる。私は眉を顰めながら浮かせていた足を元の場所に戻し、何やらウィンドウを操作している金色を見遣る。
「今度は何よ」
「ご、ごめんちょっと待って……」
「もう」
 緊張感が一気に霧散してしまった。ある意味これは彼の特技ではないだろうか……、と本人が聞いたら涙目で否定してきそうなことを思っていると、ネージュの顔がパッと輝く。
「見つかったの?」
「うん。……これ、渡したくて」
「…………手紙?」
 スッと差し出されたものは、真っ白な封筒だった。宛て先の部分には私の名前が記してあって、目を瞬かせる。
「これ……私に?」
「そうだよ。……日付が変わったら、封を開けてほしい」
「日付が変わったら、って。今見てはいけないの?」
「だーめ! 絶対、駄目!」
「ふーん……」
 妙に必死に阻止しようとしてくる。つい意地の悪さが顔を出して悩むフリをしたくなるが、彼の真剣な眼差しにやめることにした。ため息をこぼし、彼から受け取った手紙をストレージにしまう。
「分かったわ」
「……よ、良かったー」
 私の是とする言葉を聞いた彼はホッと体の力を抜き、安堵をその表情にあからさまに出す。まったく、何なのだろう。見たところ普通の手紙のようだけれど、それほど中身が重要なものなのだろうか。
 けれど、彼の
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