暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十四話 謀略戦(その2)
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
必ず攻め込ませるよ」
「シュタインホフ元帥が? 情報部を使うのか?」

俺の問いにエーリッヒは頷いた。シュタインホフはエーリッヒを嫌っていたはずだ。それが協力する? つまり反乱軍の誘引、これはエーリッヒ個人の考えではなく帝国軍、いや帝国の決定方針と言う事か。ここでブラウンシュバイク公が反対すれば……。

「分った、やらせてもらう。楽しくなりそうだ」
「卿ならそう言ってくれると思っていた。それとフェザーンでは帝国の弁務官事務所には接触しないで欲しい」
「!」

やれやれ、とんでもない任務になりそうだ。目の前で穏やかに微笑むエーリッヒを見ながら俺は思った。
「シャフト技術大将から設計資料が届いたら卿に送る。それも反乱軍に流して構わない。彼らも信じるだろう」

エーリッヒは積極的に動こうとしている。早急に攻め込ませ年内に撃滅する? 皇帝フリードリヒ四世の寿命は短いと見ているのか? だとすればかなり危険が大きい、それをあえて行なおうとしている……。

危険だが勝算が有る、危険を犯すだけの価値がある、エーリッヒはそう見ている。急に体の中が熱くなるような感覚に囚われた。興奮しているのか、俺は? 興奮しているのだ、俺は!

帝国、フェザーン、反乱軍を相手に自分の能力を試せる事に興奮している。危険の中で踊れる事に興奮している。感謝するぞ、エーリッヒ。今だから分る、俺はこんな風に熱くなれる自分を待っていたのだ。


■ 帝国暦487年5月15日    オーディン 宇宙艦隊司令部  エーリッヒ・ヴァレンシュタイン


フェルナーとキスリングが帰った後、俺は一人応接室でソファーに座っていた。なんとなく今は執務に戻りたくなかった。いや、誰にも会いたくなかった。

同盟軍は攻め込むだろう。同盟市民の中には帝国領に攻め込みたいと言う願望がある。これまでずっと帝国軍に攻め込まれてきた、今度はこちらが攻め込む番だ、同盟市民はそう思っている。

原作ではフォークの行動が帝国領への侵攻を決定したように見えるが、それを支持したのは間違いなく同盟市民だった。そうでなければあそこまで大兵力の出兵が出来るわけが無い。

イゼルローン回廊を塞ぐ、それを知れば同盟市民は今すぐ帝国領に出兵しろと騒ぐだろう。国力回復はイゼルローン回廊が塞がれた後でいい、そう言うはずだ。いや、そう言わせる。

そして政治家たちは議席を失ってまでもそれに逆らう事は出来ない。同盟市民が望む以上、政治家が反対する事は政治生命を失うことを意味する。其処まで覚悟して逆らえるのはジョアン・レベロ、ホアン・ルイぐらいのものだ

そしてドーソンも攻めたがっているはずだ。今回のイゼルローン要塞攻略戦ではドーソンの出番は何処にも無かった。ティアマトで負けたドーソンは今回勝利を収めたビ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ