外伝「鈍色のキャンパス」
〜epilogue〜
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回ってばかりの家族だった。
医師は苦笑いしながら俺の診察を始め、幾つか質問した後で言った。
「脳や内臓に損傷はないが、打撲に骨折などで半月は入院してもらうから。しかし…」
そう言うや、医師は可笑しそうに周囲を見てから再び口を開いた。
「毎日これだれ見舞い客がいるとは、君の人徳だね。さて、後でまた診察に来るから。余り無理はしないように。」
医師はそう言って部屋を出ていった。
「取り敢えず、元気そうで良かったよ。」
医師が出ていったのを見計らって、そう父が口を開いた。
「そうね。死にそうだって宮下さんから連絡受けて、イギリスの仕事蹴ってきたのに。」
「お兄様!もう無茶しちゃダメじゃないですか!」
母さんや美桜まで喋り出して…何だかなぁ…。心配してくれるのは有難いんだが、これじゃ返って煩いだけなんだが…。
「わざわざ来てくれなくても良かったのに。皆忙しいだろうし。」
三人が一息ついたとき、俺は顔を引き攣らせながらいった。鈴木に小林、宮下教授に田邊君まで苦笑してるし…。
「何言ってんの!京ちゃんが入院したって聞いた時、母さん倒れそうになっちゃったんだから!」
「そうですわ!私も失神しかけてしまいましたもの!全く…何でこう心配ばかりさせますの!?」
「そうだぞ?お前がもしいなくなってみろ。父さん…淋しすぎて死ぬかも知れん…。」
やはり煩い。誰だ?この三人を揃って呼んだのは…って、こんなこと出来るのは宮下教授しかいないんだがな…。
「お前達、少し静かにせんか。ここは病室じゃし、彼は怪我人なんじゃぞ?」
喋りまくる三人を見兼ねて、宮下教授はそう言って三人を止めた。そして三人セットで病室から連れ出したのだった。恐らくはさっきの医師のところへ連れてったんだろう…。
「京…ごめん。」
宮下教授と父さん達が出て行くと、鈴木が徐にそう言った。
「何でお前が謝るんだ?そんな必要は…」
「いや、俺は…俺達は京に謝罪しなきゃならない。」
「…?」
俺は首を傾げた。こいつらに謝罪されることなんてないんだ。その思いをしってか、今度は小林が口を開いた。
「あの噂…多分、笹岡自身が流したんだと思うんだ。そう考えると、もっと早くに俺達が笹岡と京の関係を改善出来てたら、こんなことにはならなかったと思う。河内のことだって…。」
小林がそう言って項垂れると、鈴木も唇を噛んで項垂れてしまった。田邊君もいたたまれない様子で顔を伏せてしまった。
「皆…これは皆せいなんかじゃないって…。今回のことは、俺個人の問題からきてたんだ。だから謝らないでほしい。河内だって、きっと皆のせいだなんて思ってない。もしあいつだったら、今みたいに謝ったら怒るだろうな。だから…責任なんて感じてほしくないんだ。」
俺はそう皆に言った。
これは誰のせいで
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