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藤崎京之介怪異譚
外伝「鈍色のキャンパス」
VII.Fuga-Gigue-
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印を探した。例の魔法陣のような印だ。
 外は日も傾きかけ、真っ赤な陽射しが射し込んでいる。まるで血をかけたような…そんな不気味さが覆い尽くしていたが、俺はそんな思いを切り捨てて探した。一刻も早く見つけなくては、再び崩落が始まってしまう…。
 そう思った時、それはとある荷物の陰に隠されていた。
「こんなとこに…。」
 その荷物は…笹岡のものだった。
「やはり…笹岡なのか…。」
 分かりきったことを口にした。いや…わざと口にしたんだ。心のどこかではそれを否定したい自分がいるが、これは間違いない事実。だから…わざと口にしたんだ…。自分を納得させるために。 今度は、それに手を触れる前によく見た。そこには細かい文字でラテン語が書かれ、それは…ヨハネへの啓示、いわゆるヨハネ黙示録の第十一章第十八節が書かれていた。逆五芒と共に…。
 この第十一章第十八節は、神の憤りの到来と報いと死の到来が書かれている。彼…笹岡がどうしてこれを選んだかは知りようもない。ただ、俺はそんな彼の想いを…壊す。
 俺は一思いにそれに触れると、やはりその印は砂の様に崩れ落ちた。なぜそうなるかは分からないが、これさえ無ければ全体が崩落することはないだろう。
「次は…中央棟か…。」
 そう呟くと、俺は再び駆け出した。
 この大学には、三つの校舎を繋ぐ渡り廊下が南北に渡されている。南側は崩れているが、北側は無事なのだ。そのため、俺は直ぐに中央棟へ入ることが出来た。
 入ったはいいが、ここで問題が発生した…。
「参ったなぁ…。」
 この中央棟三階は主に理事長室と練習室、そして資料室がある。肝心の北側には、管弦楽用の大きな練習があるのだが…厳重に施錠されているのを忘れていた…。
「弁償覚悟で…。」
 俺はそう言って体当たりしようと身構えた時だった。
「藤崎君、今開けるから!」
 そう声を掛けられ、俺は驚いて視線を変えると、そこには国分教授と田邊君が駆け付けていた。
「この扉は頑丈で、君が体当たりしたくらいじゃビクともしないよ。」
 息を切らしせながらそう言うや、国分教授は直ぐに鍵を開けた。
「…なぜここへ?田邊君まで…。」
「君に言われたくない!どうして何も言わずに一人で来たんだい?言ってくれたら手分けして探せるじゃないか。」
 国分教授はそう言いながら扉を開けて中へ入った。俺と田邊君も続いて入ったが…なぜ田邊君がいるかは予想出来るかな。
「いえ…これは僕にしか出来なかったんです。これを仕掛けた本人の意志が、僕には分かりますから…。」
「藤崎君…君、犯人を知ってるのかい?」
 国分教授が俺にそう問った時、後ろから田邊君が徐に言った。
「お二方、もうあまり時間がありません。早く探し出さないと。」
 その声を合図に、俺達は探し始めた。
 床は木材で覆われ、
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